燃料価格が表示されたガソリンスタンドの看板写真はイメージです Photo:PIXTA

中東情勢の緊迫化を受け、ホルムズ海峡をめぐる海上物流リスクが改めて注目されている。エネルギーや貨物の大動脈であるこの海域は、わずかな情勢変化でも世界の輸送コストを揺さぶる。だが、コスト上昇の要因は地政学リスクだけではない。ウクライナ侵攻以降の航路再編やエネルギー価格の高止まりも重なり、海上物流の“高コスト構造”は長期化している。※本稿は、経済学者の松田琢磨『コンテナ海運が世界を動かす』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。

パナマ運河は“通航料”で
成り立っている

 パナマ運河、スエズ運河は国際運河ですが、通航する際には海運会社が通航料を支払わなければなりません。コンテナ船1隻が運河を通航する際には日本円で数千万円から1億円を超える金額を支払っています。

 船種別支払額がわかる中で最新の2018年では、日本の海運会社はスエズ運河のコンテナ船通航料に1回当たり約52万ドル、パナマ運河の通航料に約53万ドル支払っています。

 両運河を運営するパナマ運河庁、スエズ運河庁はともに留学経験者を多く抱えるエリート集団で、パナマやエジプトでは運河庁職員はかなりの花形職業です。彼らは通航料の影響をしっかり分析し、喜望峰周り(あるいはもう一方の運河)を選ぶよりは(海運会社にとって)得な水準を計算して十分高い金額が取れるようにオファーしています。2023年時点で、パナマ運河通航料からパナマ政府に納付された金額(25.5億ドル)の、財政収入に対する比率を調べたところ14.2%になることがわかりました。エジプトでも一定の割合があると予想されます。

通航料の値上げは
物価上昇につながるのか?

 また、通航料は外国企業から徴収するものであることから、収入を増やす“財源”として狙い撃ちされやすい構造があります。