まぶたが垂れ下がる「眼瞼下垂」に使える点眼薬が登場、手術をする前の選択肢にPhoto:PIXTA

 加齢とともに上まぶたが下がり、人相が悪くなったと悩む人は多い。眼瞼下垂と呼ばれる症状で、真っすぐ前を向いたときに上まぶたが黒目の中央にある瞳孔まで覆ってしまう状態だ。

 日本国内の有病率は15.4%で、65歳以上、男性、高血圧、脂質異常症ではリスクが高い。そのほか、白内障手術やコンタクトレンズの長期使用歴も発症リスクとされている。

 後天性の原因の多くは、まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)が弱くなったり、まぶたの縁を取り巻く硬い組織と筋肉との付着部の劣化だ。進行すると筋収縮を促す交感神経の刺激がうまく組織に伝わらず、上まぶたが瞳孔を常に覆い隠し、視界が遮られる。

 こうなると額の筋肉(前頭筋)で目を見開く癖がつき、おでこに深いシワが刻まれていく。さらに眼精疲労に緊張型の頭痛・肩凝り、首の痛みとあまり良いことはない。ただ、根本的な治療には形成手術が必要なことから、放っておく人が多かった。

 しかし今年5月、参天製薬から後天性眼瞼下垂を適応症とする目薬「アップニークミニ点眼液0.1%」(1日1回1滴点眼)が登場した。

 後天性眼瞼下垂(両眼)と診断された患者を対象とした国内第III相試験では、点眼後5~15分で効果が出始め、まぶたの開きが平均1~1.5mmほど改善された。効果の持続時間は平均6~10時間だった。

 副作用は目の痒みなどで、本剤を使用した8割が効果を実感している。

 本剤は自由診療であり、薬剤の相場は4000~6000円/月ほど。決して安くはないが、軽症~中等症のうちは適宜、点眼薬を使い、症状が進んで心身に影響が出るようなら手術に踏み切るといった利用ができそうだ。

 さて、自分が後天性の眼瞼下垂か否か、セルフィーでできる「MRD-1」という検査をしてみよう。顔周りの力を抜いた状態で正面顔のセルフィーを撮り、瞳孔から上まぶたの縁までの距離を測るだけだ。撮影時に定規を添えたり、目の大きさを測る美容系のアプリを使うと分かりやすい。

 正常値は2.8~5.5mmで、眼瞼下垂と診断されるのはMRD-1が2.0mm以下、もしくは上まぶたが瞳孔に少しかぶった状態からである。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)