Diamond Premium News写真:つのだよしお/アフロ

KDDI子会社で発覚した、広告代理事業における架空循環取引は、過去最大級の巨額不正に発展した。特別調査委員会は、同事業の累計売上高の2461億円のほぼ全てが架空だったと認定し、過去7年間にわたって虚構のビジネスが続いていたことが判明した。“複雑怪奇”な資金循環スキームが発覚しないまま巨大化したのはなぜなのか。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

内部資料が浮かび上がらせた
資金還流スキームの実態とは?

 KDDIは3月31日、傘下のビッグローブとその子会社のジー・プランの広告代理事業で発覚した架空循環取引について、特別調査委員会の報告書を公表した。

 最大のショックは不正の規模だった。広告主も広告の成果物も存在しない架空の取引で、累計2400億円超の売上高を過大に計上していたことが発覚し、過去最大級の不正会計事案に発展した。

 ジー・プランが、問題の広告代理事業を新規事業として始めたのは2017年で、この事業を拡大するため22年末にビッグローブも参入した。以来、25年12月末までの累計売上高は2461億円。特別調査委員会は「このうち99.7%が架空だった」と認定した。つまり、広告代理事業と称する事業が丸ごと虚構だったということになる。

 不正に関与したのは、ジー・プランの元従業員2人と認定。主犯格は元部長「A氏」で、自身が立ち上げた広告代理事業が振るわずに撤退の恐れがあるとの焦りから、遅くとも18年8月までに赤字の補填と売り上げ目標達成のために架空循環取引を開始。その後にB氏が部下に加わり、不正の実行や隠蔽工作に協力した。

 一方で、同報告書は、経営陣の組織的な関与を否定した。不正の責任は元従業員のA氏とB氏の2人に集中させた格好だ。

 だが、KDDIの経営陣に責任はないのか。そもそも、グループ全体を揺さぶるほどの巨大な架空循環取引に気付かず、不正が長期間にわたって続いたのはなぜなのか。

 その一因は、A氏が構築した“複雑怪奇”な資金循環スキームにある。

 ダイヤモンド編集部は、ビッグローブとジー・プランが広告代理事業拡大のために作成した「Confidential」と記された内部資料を入手した。この資料により「アドアフィリエイト」と呼ばれる成果報酬型の広告の特性を悪用した巧妙な手口が浮かび上がった。

 次ページでは、この内部資料を通じて、過去最大級に巨大化した架空循環取引の全体像と巧妙な手口を明らかにし、巨額の不正を長年にわたって見逃したKDDIのグループ管理の問題点に迫る。