それは「仕事」なのか、「作業」なのか?

加藤 「仕事」という単語、概念に関して云いたいことがあって。

 「仕事」とは、クリエイション(創造)の要素が大小あれど、入ってくるようなこと。一方で、言われた通りにやるだけでお金がもらえますみたいなことが「作業」という区分。

 その区分けは大昔からずっとあるわけですが、例えばAIが喜んでくれるように創意工夫して音楽を作ることは、作業か仕事かで言ったら「仕事」ですよね。

 「作業」も、社会があるかぎりは永遠に必要とされるでしょう。しかし、そこに「仕事」性があるかないかはまたちょっと別の話。

石井 なるほど。たとえ仕事の形がどのようになっていったとしても、その中に「創造性」を見出すことはできるということですね。

加藤 一方で、生きていくための“ライスワーク”は「作業系」でもOK、というパターンもありじゃないですか。

 みんながみんな「創造的な仕事」で食べていくことがマストでもないでしょう。それはその人の価値観などによっても決まってくる話なので、AI登場前も後もある人間の話じゃないでしょうか。

石井 たしかに、僕たちみたいな仕事をしていると、つい「言われたことをやるだけなんて嫌だな」と思ってしまいますけど、別にそれでいい人もいっぱいいますよね。どれが偉いとか悪いとかもなくて。

 作り手、受け手としてAIという存在が現れたとしても、自分自身の仕事をどう捉えるかは、結局は自分しだいなのかもしれませんね。希望が持てました。ありがとうございます。

(本稿は、書籍『AIを使って考えるための全技術』著者の石井力重さんと、監修者の加藤昌治さんによる対談をもとに作成したオリジナル記事です。

石井力重(いしい・りきえ)
アイデアプラント代表。早稲田大学 非常勤講師(デザイン論)。日本創造学会 元理事およびデジタル推進委員会 委員長。東北大学大学院修了後(理学修士)、ハイテク専門商社に5年勤務。同大2つの大学院(工学、経済学)博士後期課程にて創造工学を研究後に退学。新エネルギー・産業技術総合開発機構のNEDOフェローとして大学発ベンチャーに3年駐在。2009年にアイデアプラント設立。創造工学の研究、ブレインストーミング・ツールの開発、アイデアソンのデザインとファシリテーション、創造研修などをしている。研修を実施した企業、教育機関はこれまでに600以上で、のべ2万人以上が参加。実施企業は、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなど。
加藤昌治(かとう・まさはる)
1994年広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』『チームで考える「アイデア会議」 考具 応用編』『アイデアはどこからやってくるのか 考具 基礎編』(すべてCEメディアハウス)、『仕事人生あんちょこ辞典』(角田陽一郎氏との共著、KKベストセラーズ)など、ナビゲーターを務めた書籍に『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社)がある。