一方、極めて小規模な研究ではサワーチェリージュースは睡眠によい効果があるとわかっている。この飲料を飲んだ成人8名は睡眠時間が長くなり、主観的な睡眠の質も改善した。

タンパク質が豊富な食事は
睡眠を改善する可能性あり

 食物の種類によっては、睡眠だけでなく朝の活力の感じ方にも影響を与えるようだ。

 朝食の献立、特に炭水化物の含有量が影響を及ぼすだろう。ある研究では起床後に炭水化物を多く摂取すると、より早く活力を感じることがわかった。研究者たちは低脂肪の乳製品や多量の果物など、血糖指数の低い食品を摂取することが大切だと述べている。

 総じて、食べ物と夜の睡眠についての学識は初期段階で、なんとも奇妙なことだ。なぜなら、さらなる研究が生産者と消費者の両方に価値あるものになるはずだからだ。これまで発表された研究には、被験者が少ない、実験に基づく研究が少ない、対照群がない、原因と結果の両方に影響する変数が測定されていない可能性があるなど、多くの方法論的な問題がある。

『熟睡力』書影熟睡力』(メライン・ファンデラール著、國森由美子訳、新潮社)

 結果として、栄養と睡眠の因果関係について信頼性のある主張がなかなかできない。魚、肉、ナッツや種子、多くの乳製品を含むタンパク質の豊富な食事については、睡眠を改善する可能性があることは明らかだ。一方、脂質と炭水化物の最適な比率がどの程度かは、科学的結果にばらつきがあって不明である。

 一般的に、就寝の1時間前以降は何も食べないのが賢明だが、もし食べる場合でも、脂質の多い食物の食べ過ぎは避けよう。牛乳が睡眠にいい効果があるというエビデンスは依然として多いが、効果の測定値は残念ながらほとんどの場合、小さい。温かいミルクなど乳製品が役立つ理由は、就寝前の儀式としての意味があるからかもしれない。温かいミルクと快い眠りが結びついた子ども時代の思い出そのものが、効果を生む場合もあるだろう。

 栄養補助食品が睡眠にいい影響をもたらすということのエビデンスはいくつかある。ビタミンDや、トリプトファンなどの特定のアミノ酸は睡眠のサポートになるだろうが、栄養補助食品には副作用や禁忌があり、睡眠に悪影響を及ぼすことがあるため、使用する場合は必ず医師に相談しよう。