夜間にベッドで目を開けたまま横になる女性写真はイメージです Photo:PIXTA

日本人の多くが不眠症に悩む。不眠は肥満をはじめ、死亡リスクの高い多くの病気につながるとされてきた。しかし最新の研究では不眠のリスクの捉え方が変わってきている。※本稿は、メライン・ファンデラール著、國森由美子訳『熟睡力』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

睡眠不足のせいで肥満や
高血圧になるのか?

 睡眠と、早期死亡リスクのある最も一般的な慢性疾患、すなわち心血管疾患との関係について判明している事柄を述べよう。睡眠問題は、心血管疾患の危険因子の1つ、肥満と関連していることが多い。不眠症が原因で体重が増えたり、体重が減りにくくなると考える人は多いが、睡眠と肥満の間に関連性はあるだろうか?

 研究者はこの問題について一連の理論を構築してきた。睡眠時間が激減するとレプチン(満腹ホルモン)が減少し、グレリン(空腹ホルモン)が増加する。その結果、食欲が増す可能性があり、炭水化物や脂質をより好んで食べるようになる、というように。

 しかし通常、被験者が不眠症患者に擬して4時間だけベッドで寝てもらった安眠タイプであっても、研究者は不眠の人々に一般化してデータを当てはめようとする。この被験者のグループを不眠症患者になぞらえるのは正しくない。実際、2017年のある研究では、不眠症患者と対照群ではレプチンとグレリンの値にまったく違いがないということがわかった。神話は暴かれたのだ。同様に、2018年にはワイ・シー・チャンの研究グループが不眠症と肥満には明確な関連がないことを明らかにした。