「どないするんや」という質問に対して、「この米を消化するために今年は「獺祭 等外」を多く造って、来年は等外米を買いません」と製造部からの返事。さらにカリカリきて、「何考えとんのや」「等外米を買い始めた当初の気持ちを忘れたんか」「農家に何と言うんだ」「うちには意地がないのか」なんて私の一方的な文句がありまして……。

 とはいえ現実に1万3000俵。しかも、未熟なまま収穫された青米が昨年と比べて多い、明らかに等外米としてもルール違反の米が多々ありました。

 そんなひどい等外米でも「意地でも」ちゃんと美味しいものに仕上げるのが、「獺祭の意志」です。「こんなこと考えずに、世の流れに身を任せていればリスクもないのに」なんて声も聞こえてきそうですが、病気なんですかね、私は。

限界まで磨く精米技術で
等外米を大化けさせる

 全体的に前年と比べて品質が落ちる山田錦等外をどうするか?

 そこで考えたのが、ふるいにかけて再選抜して粒をそろえればいいということです。青米だって色彩選別機にかけてふるい落とせばいい。実際に、「獺祭 磨きその先へ」や「獺祭 磨き二割三分」の麹用の山田錦は特上の山田錦をふるいにかけて、さらに選り抜いています。同じことをやればいい。

 ということで、ふるってみると、中には4割以上ふるい落とされてしまうロットも。でも、やってみたら、なんとか3等米程度にはなりました。これならいけると、さらに欲張って、「米は余って困るほどあるんだから、これで2割3分まで磨いて造ってみよう」「もちろん等外米だから正規の純米大吟醸表示にはならないけど、大方の純米大吟醸には互角の勝負を挑めるんじゃないの」そんな経緯が社内であって、できた「獺祭 等外23」です。

 劣化が早い等外米という特性も考慮して生酒で出して、なるべく1カ月以内に飲んでいただくように広報しました。通常の「磨き二割三分」のレベルと互角とはいきませんが、それでも高精白の山田錦を使った酒に特有の繊細さと山田錦特有の丸みを帯びた味も感じられました。