そして現在、等外米を8%まで磨いた「獺祭 未来へ 農家と共に」を発売しています。等外米のため特定名称酒の純米大吟醸という分類には入らず、あくまで普通酒ですが、これが本当にきれいな甘さと独特の奥行きを感じられる味わいに仕上がっています。
味の要は精米技術です。「磨き二割三分」の2.5倍の10日という日数をかけて磨くことで、等外米でしか出せない美味しい酒が完成したのです。さらに私たちは、精米機の限界と言われる6%までの磨きに挑戦中です。
どんなに経験と技術がある農家でも、一割ほどの等外米が出ることは避けられません。手間と時間がかかる分、価格は上がりますが、くず米扱いになってしまう等外米の新たな道として、この酒の背景を理解してくださるお客様の元に届けたいと造っています。
「この程度は仕方ない」とせず
自主回収を決断した理由
2016年は、山奥にある中小企業の酒蔵なのに、大企業病にかかり始めていることが問題になった年でもありました。
夏に一部の酒の需要予測を誤り不良在庫化させ劣化させてしまいました。同じく年末の需要期にまた需要予測を間違えて品不足を引きおこしてしまいました。
そして、師走の忙しい時に世間をお騒がせする事故を起こしてしまいました。出荷された「獺祭 磨き三割九分」の瓶に小さな虫が混入していたのです。
「獺祭 磨き三割九分 720ml 製造年月16・10・D」の自主回収を決めて発表しました。各方面にご迷惑をおかけして本当に申し訳ないことです。
製造工程は徹底的にクリーンにしており虫が入る隙などないはずです。おそらく空瓶に酒を充填して打栓するまでのわずか数メートルの間に、しかもクリーンブースになっている部屋に1匹の虫が侵入して、1本の瓶に飛び込んでしまったのです。信じられない確率を突破して飛び込んだのです。
事件後立ち入り検査をした保健所の方からも「衛生面で必要と思われることは全部していますね。普通、こんなことで回収までする酒蔵は聞いたことがありません」と驚かれました。







