「私には何もない…」多部未華子の原点は10歳で抱いた劣等感!?朝ドラ主演2人に“メンター”として伝えたいこと『風、薫る』第24回より 写真提供:NHK

人生の転機は10歳の時!「私には何もない」と感じた理由

――『つばさ』(2009年度前期)でヒロインを演じて以来の朝ドラ出演です。いかがでしたか。

 久しぶりに朝ドラのスタジオに入ったとき、まずうれしさとちょっと懐かしい気持ちもありました。『つばさ』のときのスタッフの方が今の現場にもいらっしゃったり、会いにスタジオに来てくれたり、皆さんと当時の思い出話に花が咲く時間があったりして。20歳の頃にほぼ1年間一緒に頑張っていた人たちと再会できたのはとてもうれしかったです。ただ、役回りも違いますし、どちらかというと新鮮な気持ちのほうが強かった気がします。

――朝ドラの先輩から見て、見上愛さんと上坂樹里さんの印象を教えてください。

 2人はとってもしっかりしていると感じます。見上愛さんは、いつもニコニコと天真爛漫で、現場のムードメーカーという印象です。朝ドラの主人公は毎日撮影するシーンも多いうえ、着替える回数も多いんです。にもかかわらず見上さんは疲れた顔を一切見せない。

 CMで共演した現場でも常にニコニコ明るかったのですが、今回、はじめて一緒に作品作りを行って、本読みしたり立ち稽古したりしていると、俯瞰的に考える人だと感じました。自分のキャラクター・りんをどう見せるかより、作品全体としてどう見せればいいか考えて監督と話しているような印象があって。そういうアプローチはCMの現場ではわからなかったので、すごくクリエイティブな俳優さんなんだなと感じました。

 上坂樹里さんは、私が『つばさ』に出ていたときと同じ年齢なんです。私は当時こんなにしっかりしていたかな?と思うくらい、肝が据わっているように見えます。直美というキャラクターと通じるところもあるのかもしれませんが、いつも冷静に現場にいる感じがします。

 上坂さんは撮影の合間もずっと本を読んでいるんですよ。当時の自分を振り返ると、私は台詞を覚えるのでいっぱいいっぱいで、ほかのことをする余裕はまったくありませんでした。朝ドラのヒロインは出番が多く、本当に次から次へとやることがあるのに、本が読める余裕があることに感心しています。
(※当時を知るスタッフから、多部さんは台本をちゃんと覚えて撮影に臨んでいたという発言があった)

――りんと直美は、それぞれの家庭の事情から看護婦を目指します。多部さんが俳優になったきっかけは何でしたか。

 ミュージカル好きの両親に連れて行ってもらった『アニー』を観劇して、エンターテインメントの世界に興味を持ったのがきっかけです。10歳のときで、ちょうど主人公の女の子が私と同じくらいの年齢の役でした。同い年の子どもたちがキラキラと輝いて歌って踊っていて、「私には何もない、私も習いたい」と思ったのが始まりです。

 捨松はりんと直美のこれからの人生に影響を与える人物ですが、今の私がここにいるのは、舞台好きの両親の影響かもしれません。