「#読書好きな人と繋がりたい」とSNSに書きたくなる人へ。
ひとりになるのが怖い人へ。

書籍『ほんとうのことを書く練習』から、「孤独」の意味がガラッと変わる哲学者ハンナ・アーレントの言葉を紹介します。(構成・写真/ダイヤモンド社書籍編集局・今野良介)

孤独は「ひとり」ではない

孤独は、怖い。

だからひとりになるとスマホを開く。SNSを見る。ニュースを見る。ゲームをする。

何かと「つながろう」とする。

今ほど人と簡単につながれる時代はないはずなのに、私たちはなぜこれほど不安になるのだろうか。

『ほんとうのことを書く練習』では、哲学者ハンナ・アーレントの、孤独を一般的な意味とは少し違う形で捉えた言葉が引用される。

孤独な人間は独りきりであり、それゆえ「自分自身と一緒にいることができる」。人間は「自分自身と話す」能力を持っているからである。換言すれば、孤独においては私は「私自身のもとに」、私の自己と一緒におり、だから〈一者のうちにある二者〉である
――ハンナ・アーレント、大久保和郎・大島かおり訳『新版 全体主義の起原』P349より

つまり、孤独とは「ひとり」なのではなく、自分と自分の「ふたり」でいられることだというのだ。

私たちは孤独を、「誰ともつながっていない状態」だと思う。

しかしアーレントは、「自分とつながっている状態」だと言う。

「孤独」の意味が180度変わるハンナ・アーレントの言葉つながっていても孤独

SNSには昔から、「#読書好きな人と繋がりたい」というハッシュタグがある。

読書は本来、孤独な行為だ。誰かと話しているわけではない。本を閉じたあと、考えるのも自分ひとりだ。

それなのに私たちは、本を読むとすぐに「誰かと繋がりたい」と思う。

本だけではなく、映画を観たとき。何かに感動したとき。すぐに感想を共有したくなる。

もちろんそれ自体は悪いことではない。でも、その前に、「ほかならぬ自分はどう思ったのだろう」と考える時間を持ったほうがいい。

そうすれば、他人とつながる前に、自分とつながることができる。

自分と一緒にいられるから、孤独は寂しいものでもこわいものでもない。だから他人に気に入られようと、無理に自分を変えたり、抑え込まなくていい。

――『ほんとうのことを書く練習』より

孤独が怖い人は、本当は、自分と向き合うことが怖いのかもしれない。

アーレントが言う孤独は、孤立ではない。他者と健全につながるための出発点である。

人の目が気になる人ほど、一度立ち止まってみるといいかもしれない。

誰かの声を聞く前に、まず自分の声を聞いてみよう。

そのための手段としての「書く」を、『ほんとうのことを書く練習』で知ってほしい。

(本稿は、『ほんとうのことを書く練習 「わたしの言葉」で他者とつながる文章術』の内容を引用して作成した記事です)