短歌は「型」があるから
気楽に取り組みやすい

 短歌のルールはたったひとつ、「五・七・五・七・七」という型に当てはめること。三十一音で構成される、とても短い詩の一種です。

 詩というのは、何かしら特別な経験をした人が、特別な言葉を用いて作るもののように捉えられがちですが、短歌の場合は、むしろ逆。大きなできごとやテーマを扱うこともできますが、ほかのジャンルだったらわざわざ取り上げることもないような、日々のささやかな心の揺れをすくい取って、深掘りすることができる。短さは決してマイナスではなく、何気ないできごとや小さな感動に対応しやすいサイズといえます。

 だったら、さらに短い俳句(五・七・五)のほうが簡単なのでは?と思う人もいるでしょう。

 俳句には、特定の季節を表す「季語」を入れるルールがあるのをご存じですよね。実は季語を使いこなすには、かなりの知識や経験を要するのですが、短歌にはそれすら必要ないのです。

 なぜ私たちは、五・七・五・七・七という短歌のリズムに、心地よさを感じるのでしょう。その理由は科学的に解明されているわけではありませんが、1300年以上前から詠まれてきたこのリズムは、無条件に日本語を輝かせてくれることを、私たちは経験的に知っています。

 決まった型があることを一見窮屈に感じてしまうかもしれませんが、「何文字でもいいですよ」と言われたほうが、ちょっと困ってしまいませんか?

 たとえばクッキーを作るときでも、「自由に、自分らしい形で作ってください」といわれるより、型抜きを使ったほうが断然気楽に取り組めますし、簡単ですよね。

 五・七・五・七・七のリズムは、日常の心のあり様を型抜きしてくれる、便利な道具のような役割を果たしてくれるのです。