8カ国すべてが持つ強烈な個性

「8カ国しかないなら、その8カ国を徹底的に研究すればいい」

 僕は、日本がこの優勝国リストに名を連ねる日を夢見て、8カ国の共通点を探ることで、見えてきたことがあります。優勝国に共通するのは、強烈な国力でも、潤沢な競技人口でも、長いサッカーの歴史でもありません。他者との圧倒的な違い、つまり独自性です。ブラジルのリズム、ドイツの規律、イタリアのカテナチオ、スペインのポゼッション。どれもその国にしかない色で、他の国がそのまま真似ようとしても二番手にしかなれないものばかりです。

 ワールドカップで頂点に立つためのマスターキーは、ここにあります。「サッカーとは何か」という問いに自分たちなりに答え、その答えをピッチの上で表現できるかどうか。優勝8カ国はみな、長い試行錯誤の末に自分たちだけの答えにたどり着いた国々です。

 では、日本の特徴は何か。

利他の精神がピッチで活きる

 日本のスタイルを考えるうえで、象徴的なプレーがあります。

 2025年のキリンチャレンジカップ、ボリビア戦の2点目のゴールです。攻撃に転じた日本は、ニアゾーンへの侵入を狙っていました。中村敬斗選手がフリーで走り込もうとしたそのとき、町野修斗選手はゴール前のいいポジションに入ることもできました。けれど町野選手が選んだのは、相手のセンターバックとカバーに入ろうとした選手の間に立ち、カバーの動きをブロックすることでした。中村選手のためにスペースを空けたのです。

 ただ、結果的に、ボールは町野選手のもとに返ってきました。ゴール前で相手を抑えていたぶん入りが一瞬遅れ、しかしその遅れがかえって走り込みながらの進入を可能にし、相手のマークが間に合いませんでした。あのとき、町野選手が自分がゴールを取るつもりで早めにポジションを取っていたら、相手ディフェンダーに対処する時間が生まれ、足を出されていたはずです。

 ストライカーはエゴイストであるべきという論があります。「自分が」という意識で1対1を制し、ゴールに向かう。それはそれで素晴らしい論理です。