
「サッカーの日本代表が8大会連続8度目のワールドカップ出場を決めた。来年夏に開催される4年に一度の大舞台へ、予選なしで出場できる開催国のアメリカ、カナダ、メキシコを除けば世界最速であり、アジア最終予選を3試合残しての出場権獲得は日本サッカー史上で最速だった。これまでの最高位だったベスト16のはるか先、ワールドカップ優勝を目標に掲げる森保ジャパンへ、メディアを介して何度も喧伝された「最速」の二文字は、実際にどのような価値をもたらすのか。(ノンフィクションライター 藤江直人)
アジア最終予選3試合を残して
「史上最速」の突破
まるで枕詞のように、メディアを介して「世界最速」や「史上最速」を何度も見聞きした。ともに8大会連続8度目のワールドカップ出場を決めた瞬間から、サッカーの日本代表につけられた言葉だ。
森保一監督に率いられる日本は、3月20日に埼玉スタジアムで行われた、バーレーン代表とのアジア最終予選第7戦で2-0の勝利をゲット。通算成績を6勝1分けの勝ち点19として、6カ国で構成されるグループCのなかで、ワールドカップに自動的に出場できる2位以内を確定させた。
この時点で、来年夏に次回ワールドカップを共同開催する北中米の3カ国、アメリカ、カナダ、そしてメキシコ以外で日本が初めて出場権を獲得した。ゆえに「世界最速」であり、トータルで10試合を戦うアジア最終予選を3試合も残した状況での突破が、日本にとって「史上最速」となった。
いずれも事実であり、大げさでも、誇張された表現でもない。それでも何度も見聞きしているうちに、素朴な疑問が頭をもたげてくる。喧伝される「最速」にどのような価値があるのか、と。
日本が本大会の出場権をライバル勢に先駆けて獲得できた最大の理由として、大陸ごとに行われるワールドカップ予選の開催方法や開催期間が、大きく異なっている点が挙げられる。