『虎に翼』を思い出した…“行けなかった思い出”ほど忘れられない理由〈風、薫る第58回〉

ひとり抜け、ふたり抜け……

 バーンズ先生、最後の講義(?)を聞いた6人は居室に戻り語り合う。

「アップルパイ、よっぽどおいしいんだろうね」「スコットランドでも母の味なのかしら?」「果物は甘く煮るってイチジクの甘露煮みたいな感じかしら」と想像していると、しのぶ(木越明)の元気がない。

 ここで、ゆき(中井友望)に次ぐ、ふたりめの退場が宣言される。

 しのぶは看護婦にはならないと言う。もともと看護服が着たかったからという、かなり安易な理由で看護婦を目指していた呉服屋のお嬢様のしのぶ。

 でも、学ぶうちに本気になり、看護婦の奥さんを許してくれる見合い相手をずっと探していた。だが、残念ながら、好条件には出会えなかった。

「結婚して、旦那、子ども、家族、近所の人が病気になったときに、ここで学んだ看護を生かすことにしますわ」
しのぶにとっては、結婚が看護婦の仕事に勝るようだ。まず、結婚。

 看護婦は結婚してはいけないってことはない。

 結婚したあと看護婦をやってもいい。

 万が一、離縁したら、また看護婦として働ける。

 いろいろな意見が飛び交った。まさに選択の自由である。

 さらに、もうひとりの退場者が。

 喜代(菊池亜希子)である。彼女は卒業後、教会で伝道者になることに決めた。

 仕事として看護をすることが割り切れないのだと言う喜代。患者の赤ん坊の面倒を見るなど、つい業務外のことにも目が向いてしまう人であった。

「喜代さんみたいな人と結婚したい」と言いだす多江(生田絵梨花)
「こったやさしい男、夢のなかにしかいない」とトヨ(原嶋凛)。

 いや、安(早坂美海)の結婚相手・宗一(上杉柊平)はかなりやさしい男である。宗一のような男性が、1人、10人、100人、1000人、増えることを女性たちの夢にしたいものだ。

 夢の話が出たところで、直美(上坂樹里)の夢はアップルパイを食べること。

 しのぶの夢はみんなでお出かけ。

 トヨは横浜に行きたい。

 というわけで、お出かけが計画される。