考え込む女性写真はイメージです Photo:PIXTA

「なんて自分はダメなんだ」「どうして自分ばかり……」。ちょっとした失敗や他人の言葉をきっかけに、自分を責めたり、悪い方向へ考えが暴走したりしてしまう人は少なくない。精神科医の藤野智哉氏によれば、そんな苦しさから抜け出すカギは、頭に浮かんだ考えをすぐに「事実」と決めつけず、一度立ち止まることにあるという。感情に振り回されず、生きやすさを取り戻すための認知行動療法のエッセンスを解説する。※本稿は、精神科医の藤野智哉の『人生が自動的にうまくいくレッスン 仕事・人間関係がラクになる認知行動療法のエッセンス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

生きやすくなるように
「自動思考」を整える

「自動思考」は人それぞれです。

 同じ「半分の水が入ったコップ」を見ても、とっさに「半分しかない」と不安に思う人と「半分も残っている」と安心する人がいます。

 ネガティブに偏ることもあれば、ポジティブに偏ることもあるのです。

 そして、必ずしもネガティブだから悪い、ポジティブだからいいというものでもありません。

 ただ、この記事で大切だとお伝えしたいのは、「偏りすぎず、なるべく現実にそった自動思考をもち、その結果として生きやすくなること」です。

 ネガティブな自動思考をもっていることで、人と衝突しがちだったり、仕事でもよくない結果を生みがちなら、その自動思考を変えましょうというだけの話です。

 たとえば、お客様から「もう少し丁寧に説明してほしい」とクレームを受けたケースで考えてみましょう。

 反射的に「自分は本当にダメだ」「世界が終わった」などと思うのは、少しネガティブすぎるかもしれません。

 自分を責める方向にばかり意識がいってしまい、お客様の「丁寧に説明してほしい」に対処する方向に頭がいかないからです。