食事を終えると、ジョブズが「名刺をくれ」と言ってきた。大西さんが「次回もどうぞよろしくお願いします」と声をかけて名刺を渡したところ、彼はショッキングなことを言った。
「実はもう、京都には来られないかもしれない。僕はすごく大きな病気をしていて、体調もあまりすぐれない。だから、もしかしたら、京都への旅行はこれが最後になるかもしれない」
その言葉どおり、ジョブズには最後の京都になってしまった。
ジョブズをアテンドした
「オオシマさん」を探せ
話を聞く中で、1つの疑問が浮かんできた。
「ジョブズは、どうやってこの店にたどり着いたんですか?」
大西さんに尋ねると、こう答えた。「ジョブズさんの予約をしたのは、オオシマさんという運転手でした」
この“オオシマさん”こそ、京都の真のキーマンだった。
太陽が沈んで空はもう暗くなり、すでに街灯がともっていた。
すし岩のあと、もう1か所寄って話を聞いてからホテルへ向かう途中、鴨川沿いを三条大橋方面へ歩きながら、僕はiPhoneで京都のタクシー業界の関係者を手当たりしだいに探しては、必死に問い合わせていた。
「オオシマさんという方をご存じありませんか?」
翌日には、東京に戻らなければならない。でも、記者の直感でわかる。オオシマさんにはきっと何かがある。なんとか手掛かりをつかみたい。電話をかけまくっていた。
同行したバディ(相棒)の荒木ディレクターが「オオシマさん、見つかるといいですね~」と、横から声をかけてくる。しばらくすると……。
「知ってますよー。つなぎましょうか?」
突然、オオシマさんを知っているという人につながった。その人に教わった電話番号にかけると、やわらかい関西弁の男性が電話に出た。
僕は手短に取材の趣旨を説明した。
「急なお願いで申し訳ありませんが、あす、お目にかかれませんか?」
ぶしつけなお願いにもかかわらず、その男性は快諾してくれた。それが、ジョブズが信頼したドライバー、大島浩さんだった。







