「発売時からクオリティーが高かったことで、お客さまの中に『油性マーキングペンとはこういうものだ』という一つの基準線が生まれたのだと思います。その基準が非常に高いところに設定されたことで、他社も超えるのが容易ではなかった。それが長く愛され続けた一番の理由ではないでしょうか」

 実際、1970年代以降にはゼブラの「ハイマッキー」をはじめとする競合製品が次々と登場し、油性マーカー市場は群雄割拠の様相を呈した。匂いの少ないアルコール系インクを採用した他社製品が台頭する中、マジックインキはキシレン系インクの独特な匂いを理由に学校現場で一部敬遠される場面もあった。

 しかし、それでも市場シェアを大きく崩されることはなかった。理由は先行者としての圧倒的な信頼にある。

 日本で最初の油性マーキングペンとして市場を開拓したマジックインキは、競合が登場した時点で既に製品カテゴリーの代名詞となっていたのだ。後発各社はその基準と比較される立場に置かれ、逆説的にマジックインキの存在感をさらに高める結果となった。

「当社のインクは耐水性も耐光性も高い。とりわけ屋外の現場や過酷な環境で使う方にとっては、マジックインキでなければという場面が今でも多いです」と今井氏は胸を張る。先行者利益と品質への一貫したこだわりが組み合わさったとき、ブランドはそう簡単には揺らがないのだ。

 一方、長い歴史の中で変わったものもある。それは製品の形状やパッケージデザインで、現在は3代目に当たる。

 特に大きく変わったのはキャップだ。改良が重ねられ、「カチッと閉めると確かな手応えがある」(今井氏)ようになった。実は、2代目のマジックインキのキャップは固すぎて開かないといった指摘も多く寄せられたというから、決して小さな改良ではないだろう。

キャップの形状の違いキャップの形状の違い Photo by M.F.