ポケモンやムーミン
世界的なファッションブランドとのコラボも

 競合製品の台頭と市場の成熟によって、マジックインキの売り上げが下降し始めた2000年代以降、寺西化学工業が力を入れてきた施策の一つがブランドコラボレーションである。

 15年ほど前からスタートし、これまでにポケットモンスター(ポケモン)、スター・ウォーズ、ムーミン、そしてニューヨーク発のファッションブランド・Supremeなどとのコラボを実現してきた。

「Supremeから声がかかったのも、米国の社員が日本で文具を買い集める中で、日本の油性マーカーといえばこれだという認識があったからと聞いています。日本のパイオニアとして一緒にやりましょうと」

 Supremeとのコラボは8色セットを制作。1セット数千円という高価格帯でも即完売となった。こうしたコラボは収益源というよりも宣伝だと、今井氏は明確に位置付ける。

 SNSや各種メディアで露出を増やすことで、マジックインキというブランドの認知を次世代に引き継いでいく。

「コラボという話がくるのも、『マーカーペンといえばこれ』という認識が広まっているからです。それはありがたいことですし、その認知をさらに広げていくためにコラボを続けています」

SupremeとコラボしたマジックインキSupremeとコラボしたマジックインキ Photo by M.F.

販売数は縮小
それでも、手書きの価値を届けたい

 先述したように、1970~80年代に年間数千万本を誇ったマジックインキの販売数は、その後、ゆるやかな下降を続けている。現在の年間販売数はピーク時から大きく縮小している。

「斜陽産業ですよ」と今井氏は苦々しい表情で語るほど、デジタル化の進展は筆記具市場全体に容赦なく影響を与えている。封書の宛名も、年賀状の作成も、かつては手書きが当たり前だった行為が、今ではPCやスマートフォンのアプリに置き換わった。加えて、少子化による学校用文具の市場縮小も追い打ちをかける。