ただし、今井氏は、この逆風の中にこそビジネスチャンスを見いだしている。
「デジタルでは絶対に再現できない価値がある。それが手書きの温もりです」
その文脈で会社として力を入れているのが、万年筆インクの展開だ。
寺西化学工業の創業は大正時代。その原点に立ち返り、当時の色彩をテーマにした「大正浪漫 ハイカラインキ」シリーズを展開している。
ナイトタイムソーダやオペラローズなど、大正モダンを想起させるカラー名と世界観が、“インク沼”と呼ばれるコレクター心理に火をつけた。「万年筆が女性のお客さまに特に人気なのは、色のコレクション性があるからです。使うためだけでなく、集める楽しみとして購入される方が増えています」と今井氏は力を込める。
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今後については、描くことへのこだわりを軸に据えた商品づくりを考える。デジタルペンやタブレット向けスタイラス(ペン型デバイス)への進出も視野に入れながら、それでも今は、人間が描く温かみを大切にしたアナログ製品にこだわりたいという。
同社の看板商品であるマジックインキに関しては、キャップやデザインが変わっただけで、「マジックインキといえばこの形だろう」といったクレームの電話やメールが熱心なユーザーから届くという。
「なかなかこういう製品はないと思います。そう言ってもらえるほど、大勢の方に使っていただけているわけですから」と今井氏は喜ぶ。70年以上も続くマジックインキの物語はまだ終わらない。







