うち、溺死が約半数を占め、その他、転倒事故なども少なくない割合で含まれる。自宅内事故による死亡者の年齢は、65~79歳が31.2%、80歳以上が57.6%と、約9割が高齢者であり、さらにこの割合は経年的に増加傾向にある。住宅火災による死者数は、2023年のデータでは1074人、うち、7割強が高齢者である。

 警視庁によれば、2023年の自殺者数は2万1837人、このうち61.4%が自宅で亡くなっている。

孤独死は部屋だけでなく
建物全体のリスクになる

 不動産会社は、言うまでもなく孤独死を嫌悪する。遺体の損傷が激しく床や壁に汚損が生じた場合には、改修に多額の費用がかかる。なにより、いわくつきの物件に入居者を集めるのは難しい。

 そこが集合住宅であれば、異臭や心理的瑕疵のために、近隣住民が退去してしまうリスクもある。つまり、その影響は、当該住戸にとどまらず、より広範囲に及ぶことが想定されるのだ。

 日本少額短期保険協会は、2010年に賃貸住宅入居者の死亡による居室の損害を補償するオーナー向けの保険の販売を開始、それ以降、保険金支払いデータを統計化し、その実態の可視化に努めている。

 その累計は、2024年度で1万154人。年齢は、65歳以上が半数を占めるものの、65歳未満の現役世代も48.1%と少なくない。死因は病死が63.8%と多数を占めるが、自殺も1割を占める。

 発見までの日数は、3日以内が約4割と高いが、4日から14日以内という割合も28.2%ある。発見者は、近親者が36.1%である一方、管理会社や福祉関係者、警察などの「職業上の関係者」が48.0%と最も高くなっていた。

 なお、原状回復費用の平均損害額は47万4170円、最大損害額は454万6840円、平均支払い保険金は31万5349円、最大支払い保険金は200万4101円であった。

「事故物件」扱いが
高齢者の住まいを狭める

 孤独死が発生すれば住宅の価値が落ちるというのは、不動産業界の常識である。かつて業界では、死因のいかんにかかわらず、人の死によって契約が終了した物件を「事故物件」として扱う慣例があった。