事故物件となれば、次の入居者への告知義務が発生し、それが募集の足かせとなる。そのため、不動産業界には、孤独死リスクの高い高齢者を排除するという傾向があるのである。
この問題こそが、高齢期の住まいの選択肢を大幅に狭めることを手伝っている。事実、国土交通省が日本賃貸住宅管理協会を通して2021年に行った187のオーナーを対象とした調査によれば、高齢者への「拒否感がない」という回答は34%、残る6割強が程度の差はあれ「拒否感がある」と回答している(令和3年国土交通省調査)。
こういった実態を危惧した国土交通省は、2021年にガイドラインを策定し、自然死や病死により契約が終了した事案については、事故物件として扱わなくてよいことを明示した。
一方で、「自殺、他殺のほか、自然死であっても特殊清掃を行った場合」については告知義務化し、賃貸住宅に限っては告知期間を事故の発生から3年程度とルール化した。
なお、特殊清掃業者とは、主に孤独死のあった自宅を清掃・消毒する業者のことを指す。2018年時点で全国に約5000社存在するとされ、その数は2013年から15倍となっている(図表1-2、毎日新聞2018年5月13日)。
同書より転載 拡大画像表示
告知義務がなくても
「事故物件」は拡散する
こういった政府の方針が示されてなお、不動産業界はいまだ高齢者の入居に慎重な姿勢を見せている。
まず、特殊清掃を避けるためには、遺体を早期に発見する必要がある。例えば、人材を確保して定期的に見守りサービスを付帯したり、一定期間電気の利用がなければ異常を察知するICTセンサーを導入したりという企業努力を行う事業者もみられる。







