うずくまる子どもに寄り添う保護者の様子写真はイメージです Photo:PIXTA

「忘れ物が多い」「集中が続かない」──そんな日常の“あるある”から、「自分もADHDかもしれない」と感じたことはないだろうか。SNSや動画でもADHDは身近な話題として広がる一方で、その情報の多くには誤解や極端な一般化も混ざっている。実はADHDは“誰にでも当てはまりそうに見える特性”を含むからこそ、自己判断が最も危うい領域でもある。小児発達行動医学の専門医・松浦有佑氏が、ADHDの本質と誤解されやすいポイントを医学的な視点から解きほぐす。※本稿は、アメリカ小児科専門医の松浦有佑『発達障害を正しく知る』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

最も身近な発達障害
ADHD(注意欠如・多動症)

 日本語では「注意欠如・多動症」という少し長い名称ですが、本稿では統一してADHDと表記します。ADHDは発達障害の中でも最も身近な存在であり、よく耳にする言葉ではないでしょうか?

「自分はADHDかもしれない」と感じる方もいるかもしれません。実は筆者自身も、時々そうなのではないかと思うことがあります。それほど、ADHDの項目に含まれる特性は多くの人の生活に関わるものです。研究によって世界的にバラつきが大きいですが、子ども・思春期のうち約8%の人がADHDであると言われています(1*)。

(1*)…Ayano G, Demelash S, Gizachew Y, Tsegay L, Alati R. The global prevalence of attention deficit hyperactivity disorder in children and adolescents: An umbrella review of meta-analyses. J Affect Disord. 2023;339:860-866. doi:10.1016/j.jad.2023.07.071.