オーストラリアは「まだマシ」なワケ
航空券が高過ぎて社会問題

 ただし筆者は、東南アジア諸国と比べればオーストラリアのほうが、まだ希望があると考える。その最大の理由が、オーストラリアで「高額な航空運賃」が大きな社会問題となっているからだ。

 一例としてシドニー~メルボルン間の航空チケットは往復1000豪州ドル(約11万3000円)することも珍しくない。東京~広島間を往復するだけで10万円レベルの出費、しかも他の選択肢がクルマ移動しかないことを想像するとツラさが分かる。

 背景にはオーストラリアの航空業界のいびつさ、カンタス航空とヴァージンオーストラリア航空の2社寡占がある。同国はLCC(格安航空)の普及こそ早かったが、それはカンタス傘下の子会社・ジェットスターであり、新たなプレイヤーとは言い難い。

 エアアジアなどLCCが普及・定着して航空が圧倒的に強い東南アジア諸国と比べると、オーストラリアの500km以上の中長距離移動における競争環境は、変わる余地が大きいのだ。

 例えばシドニーからメルボルン~ブリスベンまで高速鉄道が延伸し、航空と上手く差別化できれば、値段が高い飛行機からある程度のシェアを奪うことにつながるだろう。

 あるいは、航空とうまく接続することで高速鉄道が需要を獲得するケースも考えられる。というのも今年10月に開業予定のウェスタン・シドニー国際空港に、将来的にこの高速鉄道が乗り入れる案も存在する。実現すればとても堅実な需要創出といえる。

 高速鉄道が空港に乗り入れるには、324億豪州ドル(約3兆6000億円)の追加費用がかかると試算されているので一筋縄にはいかないだろうが、フランスやドイツの高速鉄道が行っているような飛行機と高速鉄道の連携は重要だ。

 もっともこの案においては、日本勢は不利になるかもしれない。新幹線と飛行機の連携はノウハウが乏しく、欧州勢のほうが有利だからだ。新幹線にもウィークポイントはあるのだ。