ですので、入院することで、それらのストレスからフリーになる、離れることが重要となることも多いわけです。とにかくとことん休む、一日中横になっていてもよいことが伝えられることもあります。
そのようなとき、患者さんは、自分のベッドの周りのカーテンを閉じて、周りから遮断した空間で、横になっていることもあります。そのような入院直後のじっくり休息する時期を経て、少しずつ行動するようになります。少しずつ、この世の社会に向けて足を踏みだすという感じですね。
病気や悩みばかりの句に
心の状態が表れていた
たとえば、日中にデイルームと呼ばれる、オープンな食堂に顔を出して過ごすとか、食事もデイルームでとるとかです。このように少しずつ活動するようになった時期に、病棟活動という、病棟内で行われる患者さんのグループ活動に参加することもあります。
そのグループ活動には、レクリエーション的な性質のものから、集団療法に近いものなどさまざまなものがありましたが、心理職である私は、グループでの芸術療法ということで、俳句療法と絵画療法を担当していました。
俳句療法とは、その日の季語を決めておいて、俳句を作る時間をたっぷりとって、参加者がそれぞれ発表し、その内容について軽く感想を述べ合う、といった流れで進みます。
ここで興味深かったのは、入院して間もない患者さんの多くが、自分の病気や悩みを歌にすることでした。たとえばこんな感じです。
いつまでに 治るかどうか わからない
一日が 何もしないで すぎていく
これらの俳句は、患者さんの作品そのものではなく、患者さんの俳句がこんな感じだったと、私の中に残っている感覚をたどりながら似たようなものを作ってみたものです。
特徴は、まず季語がないこと、そして、病気や不調を扱っていること、そして自らの苦悩から離れていないことが読み取れます。季節を感じるということが難しい、心も身体も凍り付いたような雰囲気を感じます。
入院直後のずっと横になっている状態から、少しずつ自室から出て、廊下をゆっくり歩いたり、デイルームで過ごしたりしているけれど、頭の中は、病気のことや苦悩で、ぐるぐる頭の中をめぐっているのでは、と推察していました。







