離れて育っているのに
知能は生みの親に似ていく
最も驚かされたのは、同じパターンの類似性の上昇が、養子に出された子どもと、生みの親とのあいだにも認められたことだった。生後数日で離れ離れになって以来、親子は一度も会ったことがないというのに。
子どもが16歳になるころには、養子に出された子どもと生みの親の知能の相関係数は、実子家庭の親子と同程度になっていた。
これに対して、環境のみを共有する、養子と育ての親の知能の相関係数はほぼゼロだった。
『こころは遺伝する:DNAはいかに〈わたし〉を形づくるか』(ロバート・プロミン 河出書房新社)
遺伝率の上昇という仮説をさらに裏づける研究結果は、2010年のコンソーシアム双生児研究からもたらされた(注9)。これは、四カ国の一緒に育ったふたご、計1万1000組の知能についてのデータを分析する研究で、サンプルサイズはすべての先行研究を合わせたものよりも大きかった。
その結果、知能の遺伝率は児童期から青年期、若年成人期にかけて、40%、55%、65%と大きく上昇することがわかった。
最終的に、知能に関するすべてのふたご研究と養子研究の結果を統合するメタ分析が2013年におこなわれ、その結果、発達に伴う遺伝率の上昇がたしかめられた(注10)。
これらの研究が若年成人期までの発達に着目しているのは、それが行動遺伝学研究のサンプルサイズが最も大きい年齢層だからだ。その後の年齢についての数少ない研究からも、成人期全体をとおして遺伝率が上昇しつづけることが示されており、65歳の時点での遺伝率はおよそ80%だと判明している(11)。
注9 Claire M. A. Haworth et al., ‘The Heritability of General Cognitive Ability Increases Linearly from Childhood to Young Adulthood’, Molecular Psychiatry, 15 (2010) : 1112-20. doi : 10.1038/mp.2009.55.
注10 Daniel A. Briley and Elliot M. Tucker, ‘Explaining the In-creasing Heritability of Cognitive Ability across Development : A Meta-analysis of Longitudinal Twin and Adoption Stud-ies’,Psychological Science, 24 (2013) : 1704-13. doi : 10.1177/0956797613478618.
注11 Matt McGue and Kaare Christensen, ‘Growing Old but Not Grow-ing Apart : Twin Similarity in the Latter Half of the Lifespan’, Behavior Genetics, 43 (2013) : 1-12. doi : 10.1007/s10519-012-9559-5.







