ADHDの特性自体は消えませんが、薬によって日常生活の困難が軽減されることが多いため、発達障害の中でもADHDは、医療介入による変化が比較的わかりやすい特殊なカテゴリーに入るかもしれません。

 ADHDという名称は、AD(Attention Deficit:注意欠如)とHD(Hyperactivity Disorder:多動症)を組み合わせたものです。「では、片方の特性だけがある人はどうなるのか?」と思うかもしれません。実際、ADHDには以下の三つのタイプがあります。

・混合型(Combined Presentation):不注意と多動・衝動性の両方が見られるタイプ

・不注意優勢型(Predominantly Inattentive Presentation):主に不注意の特性が目立つタイプ

・多動・衝動性優勢型(Predominantly Hyperactive-Impulsive Presentation):主に多動や衝動的な行動が目立つタイプ

ADHDの診断基準は
不注意と多動・衝動性

 かつては、不注意優勢型の人は「ADD(Attention Deficit Disorder)」と独立した診断名で分類されていました。しかし、DSM-4(1994年)でこの診断名は廃止され、現在はすべてADHDのカテゴリーに統一されています。今でも「ADD」という言葉を使う医療者はゼロではありませんが、正式な診断名ではありません。

 ADHDの診断基準としては

A:不注意の症状

B:多動・衝動性の症状

 のいずれか、または両方が6カ月以上持続し、12歳までにいくつかの症状が現れていることが条件とされています。また、これらの症状が二つ以上の環境(学校、自宅、職場など)で見られることが必要です。

A:「不注意」の症状に関しては、以下の九つの項目のうち六つ以上(17歳以上は五つ以上)当てはまる必要があります。

・細かいところを見落とし、ケアレスミスをする(例:学校の課題、仕事、その他の活動で)

・課題や遊びの活動において注意を持続することが困難(例:長時間の読書や会話、作業など)