・直接話しかけられても、話を聞いていないように見える(例:上の空、考えごとをしているように見える)

・指示に従えず、課題や仕事を最後までやり遂げられない(例:途中で気が散って別のことを始める)

・課題や活動を順序立てて行うことが困難(例:時間管理が苦手、整理整頓ができない)

・精神的努力を要する作業を避ける・嫌がる・やりたがらない(例:学校の宿題、書類作成など)

・必要なものをよくなくす(例:財布、鍵、書類、眼鏡、スマホなど)

・外部からの刺激によって簡単に注意がそれる(例:周囲の音や動きに気を取られる)

・日常生活の活動を忘れることが多い(例:用事、約束、請求書の支払いなどを忘れる)

B:「多動・衝動性」の症状に関しても、以下の九つの項目のうち、六つ以上(17歳以上は五つ以上)当てはまる必要があります。

・身体を動かさずにいられない(例:手足をソワソワと動かす、常に席で身体をくねらせる)

・じっと座っていられない(例:授業や会議中に立ち上がる)

・落ち着かない(身体のみでなく、内面的なソワソワ感も含む)

・余暇活動や遊びに落ち着いて取り組むのが難しい

・休む、リラックスするのが難しい(例:常にエンジンがかかったように動き続ける)

・おしゃべりが止まらない

・静かにしていることが苦手

・我慢ができず順番を待つことが苦手(例:他の人が遊び終わるまで待てない)

・他人の活動の邪魔をしてしまう(例:他人の会話に割り込む)

 このように見ると、ADHDの特性は、誰にでも多少はあるように感じられませんか?そのため、ADHDは非常に身近な存在として認識されやすく、テレビなどのメディアやSNSでも多く取り上げられています。

インプレッションを狙って
不安を煽るSNS投稿に注意

 しかし、その一方で、SNSではADHDに関する情報が誤解を招く形で拡散されています。さらには「この特徴が見られたらあなたはADHD」といったような、不安を煽ってインプレッションを稼ぐためにADHDが利用される悪質なものも見られます。

『発達障害を正しく知る』書影発達障害を正しく知る』(松浦有佑、幻冬舎)

 このように「あるある」のようなSNSの情報ばかりを見ていると、ADHDかどうかは、すぐ見分けられるように思うかもしれません。しかし専門知識のある医師の視点から見ると、ADHDの診断は単純ではないことが多々あります。

 ADHDの症状は、不安症、うつ病、PTSDなどの他の精神疾患や、パーソナリティ障害と重なる部分が多くあります。また、ADHDと他の疾患が同時に存在する(併存する)ケースも珍しくありません。特に、不安症の人はいつも落ち着かずにソワソワしていることがあり、その場合、ぱっと見はADHDと非常に似ています。

 その中で、表面的な症状のみを見て誤った診断を下すと、ADHDの薬が逆効果となり、症状を悪化させることもあります。たとえば、重度の不安症の方にADHDの薬である中枢神経刺激薬を誤って投与すると、不安症状が悪化してしまいます。

 そのため、専門の医師が慎重に他の疾患の可能性を考慮し、総合的に診断を行うことが非常に重要なのです。