これは、山登りにたとえれば、山頂に到着すると、すばらしい景色が望めるイメージです。

 軍事組織のリーダーから見て、軍事行動がすべて終結したとき、「こうなっていてほしいと望む状態」 ということです。

 理想の状態を、理容師さんや美容師さんに伝えるにせよ、建築士さんに伝えるにせよ、あるいは一緒に仕事をする部下に伝えるにせよ、前提となるのはまず、自分自身がしっかりとイメージできていること。

 リーダー自身が理想の状態をイメージできていなければ、それを部下に伝えることなどできるはずもありません。

 そこで、まず必要なのは、イメージすること、想像することです。

月面着陸をビジョンとして
言語化したケネディ

 脳の機能についてはいまだ未解明な部分も多いですが、意識としては 「右脳」と「左脳」をうまく連携させるというアプローチがやりやすいでしょう。

 まず、アートやセンスを司るといわれる右脳で、理想の状態を想像します。

 そのイメージを、理論を司る左脳に送って、理想の状態を言語で表せるようにします。いわゆる言語化です。

 さらに、実現可能性を高めるためには、理想の状態を実現させる期限を切ることも大切です。これも可視化の一部になります。

 ここまですると、理想の状態は、他者にも伝達可能になります。

 理想の状態の可視化について歴史的に有名な事例が「アポロ計画」です。

 これは、私が懇意にお付き合いさせていただいている経営コンサルタントの岩本仁さんが著書『英国海兵隊に学ぶ最強組織のつくり方』で大切に扱われているエピソードですが、私にとっても非常に示唆に富むものです。

 1961年5月25日、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領は、

「10年以内に人類初の月面着陸を成功させる」

 と宣言し、アポロ計画を始動させました。

「宇宙分野での技術成長を目指す」とか、「宇宙戦略に対するソ連に対する優位を取り戻す」といったあいまいなスローガンや計画ではありません。