さて、特定の任務の作戦を成功させるために、上官は部下に「使命」を与えます。実は、「使命」の中身と形式についても、軍事理論ではちゃんと決まっています。

 すなわち、

 使命(Mission)=目的(Purpose)+任務(Task)

「何のために(目的=Why)」「どのようなこと(任務= What)」をするのか?

 を「使命」は表現しています。

 言い換えると、「取るべき行動」 「その理由」 が使命の内容です。

 実例を見てみましょう。

*例1 海上優勢を獲得するため(目的)、敵国海軍部隊の脅威を排除する(任務)

*例2 下半期の業績を向上させるため(目的)、販路を拡大する(任務)

*例3 お父さんのメタボ軽減のため(目的)、ダイエット食を調理する(任務)

 このように、「使命」は目的+任務という組み合わせになっています。

 ここで、一部上場を目指している、ある会社を考えてみましょう。

 この会社のトップにあたる本社は、

「今年度、一部上場を達成するため、年度売上目標を達成する」

 という使命を持っているとします。

 その下の本社営業部の使命は、

「年度売上目標を達成するため、下半期の業績を向上させる」

 となります。

 その下の西東京地区営業所の使命は、

「下半期の業績を向上させるため、西東京地区で販路を拡大する」

 その下の多摩営業所の使命は、

「西東京地区で販路を拡大するため、多摩地区でチラシを配布する」

 となります。

 こうしてみると、

『米国海軍大学元教官が教える自律型チームのつくり方』書影米国海軍大学元教官が教える自律型チームのつくり方』(浅野 潔、フォレスト出版)

 ある階層における目的が、1つ上の階層の任務になっている

 という関係に気づくでしょう。

 つまり、多摩営業所のチラシ配りという任務から、本社の「今年度、一部上場を達成するため」という目的までは、実は一直線でつながっているのです。

 これは、見方を変えると、最終的な目的まで、中間地点の目標が連続してつながっている「目標系列」でもあります。

 一番身近な目標から、最終的な目的までがちゃんと一直線につながっていなければ、目的は達成できません。

 だからこそ、上の階層の任務をすぐ下の階層の目的に対応させる、という仕組みが大事ということです。