つまり、現実は家が足らないのであり、「空き家問題」よりも「家不足問題」の方が私たちの生活を脅かしているといえる。それが家賃の高騰となり、持家価格の高騰となっているのだ。
稼働率が上昇している中で、新築の住宅着工を増やさないと、稼働率は上がるだけだ。ならば、新規着工を増やせばいいじゃないかと思うかもしれないが、それがままならない環境でもある。それは建築単価の高騰と工期の延長だ。人手不足倒産が最も多い建設業界では着工は増やしたくても増やせない状況にある。
10年ほど前は都区部の賃貸住宅稼働率は90%ほどだったが、今では95%を超えている。当分の間、稼働率が上昇し続けることは必至の状況にある。数年後には賃貸住宅の稼働率が100%に接近する可能性がある。
その際に、家賃がどのくらい上がるかは、過去に一度だけ実績がある。それは、東日本大震災の時で、津波でストックの多くが失われ、家を失った人たちの住宅需要が急増し、仙台市では賃貸住宅の稼働率が100%になった。
物件検索サイトには募集住戸がほぼなくなり、管理会社に直接問い合わせて待ち行列に並んでも居住すら難しい状況となった。この際、仙台市での賃料上昇幅は2割だった。同じことが起きたら、家賃水準の高い都心では、2割では済まないだろう。
リスク管理しなければならない
自宅の最大の問題は...
家を購入することを大事と思っている人が多いように思う。「人生最大の買い物」や「35年も続く負債」や「終の棲家」などという言葉もある。だからこそ、結婚して子どもの数などの世帯構成が決まってから決断するものと思うのも無理はないかもしれない。
しかし、賃貸のように気軽に引っ越すことができるものと考えれば話は違ってくる。
賃貸では、住み替えのタイミングは平均4年ほどになる。持家もそれと同じにすることはできる。そうなると、結婚する前の独身時代にも家を買えるし、結婚したら住み替え、子どもが増えたら引っ越してもいいし、子どもが家から独立したら部屋数を減らしてもいい。それを実現するためには、自宅に資産性があればいい。資産性があるがゆえに、自宅の自由度は高くなるのだ。
結婚・出産以上にリスク管理しなければならない自宅の最大の問題は、離婚である。日本ではその年の離婚件数÷婚姻件数は約35%である。ここまで数字が高いと、「自分たちは絶対に大丈夫」などとは言えず、誰でもリスクがあると考えた方がいい。離婚したら、持家は売るしか方法がない。不動産は折半もできないし、プレゼントすることもできないものだ。物件を売っても住宅ローンを全額返せない場合、名義人であれば自分の貯金から返済しなければならなくなる。
この経験をした人は、注文で戸建てを建てた人が多く、その後「賃貸派」になりやすい。過去に私と議論をした賃貸派の多くはこのケースだったが、無知の報いなのだと思う。
『新版 マンションは10年で買い替えなさい』(沖 有人、朝日新聞出版)
しかし、資産性があれば離婚することになっても何の心配も要らない。売って、資産を持ち分に応じて分割するだけだからだ。
これらのことから、家を決める際にはその資産性を理解しておいた方がいい。自宅選定は資産性だけでやるものではないが、資産性は人生のリスクには必須要件となる。
つまり、「資産性を理解した上で、その要件を満たす物件を選べばよく、それ以外は自由だ」と私は言っている。
実際、コンサルテーションした個人の方に対しては、物件選びは資産性さえあれば、あとは「自分がウキウキ・ワクワクするような物件を購入してください」と私は伝えている。







