加入期間が20年を超えると、退職所得控除は1年延びるごとに70万円ずつ増えるため、一時金として非課税で受け取れる金額も大きくなります。
もちろん、定年までの加入期間は勤務先の退職一時金の税計算に使われることが多く、そのままiDeCoの退職所得控除に利用できるとは限りません。しかし、60歳以降にiDeCoへ加入した期間については、1年ごとに退職所得控除の枠が70万円ずつ増えるため、一時金として非課税で受け取れる範囲も広がっていきます。
企業型DCの資産を定年時に受け取る必要がないのであれば、企業型DCで受け取るのか、しばらく運用を続けてから受け取るのか、あるいはiDeCoへ移換して受け取るのかは比較検討したいところです。どの方法が有利かは、退職金の金額や受け取る時期などによって異なるため、一律の正解はありません。
運用結果によって最終的な受取額は変わるため、税額を事前に正確に計算することはできません。しかし、一時金で受け取るのか、年金で受け取るのか、それとも組み合わせるのかによって税負担は変わります。また、退職金や企業年金、公的年金との組み合わせも重要になります。
だからこそ、50代のうちから受け取り方をイメージしておくことが、想定外の税負担を避けることにつながります。
私はこれを「受け取りデザイン」と呼んでいます。60代からiDeCoを始めるなら、始める前から「受け取りデザイン」を考えておくことをお勧めします。
請求のタイミングや受け取り方法を
相談できる金融機関かどうかも重要
もう一つ、受け取りが近づくと、制度や手続きに関する疑問も増えてきます。
「何歳で請求すればいいのか」
「税金はどうなるのか」
「退職金とはどちらを先に受け取るべきなのか」
こうした相談に丁寧に対応してくれる体制があるかどうかも、金融機関選びの重要なポイントです。
7月1日から、iDeCoの情報サイト「iDeCoナビ」では、各金融機関の受け取り方法や受け取り時のサポート体制を比較できるページが新たに公開されています。受け取り方法の選択肢や専用コールセンターの有無、オンライン相談への対応などを一覧で確認することができます(参考「iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ)」)。
制度改正によって、iDeCoは「老後資金をつくる制度」から、「老後のお金をどう受け取り、どう活用するかまで考える制度」へと役割が広がっていきます。
60代からiDeCoを始めるなら、運用商品や手数料だけで金融機関を選ぶのではなく、「受け取りデザイン」という視点から、自分に合った金融機関を選んでみてはいかがでしょうか。







