女性向け商品は
「女性の実態」を見てきたのか

 むしろ、この数字が突きつけているのは逆の問いではないか。なぜ女性たちは、自分のニーズを満たす商品を女性向け売り場ではなく、メンズ売り場に探しに行っているのか 。女性はメンズ制汗剤を目的としているのではない 。自分の生活に必要な機能を探した結果、たまたまそれが「メンズ」と書かれた棚にあったということだ。

 女性向けの汗・ニオイ対策商品は、これまでしばしば「いい香り」「かわいさ」「やさしさ」「清潔感」といった言葉で語られてきた 。せっけんの香り、フローラルな香り、淡い色のパッケージ、肌へのやさしさ 。もちろん、そうした価値を求める消費者はいる。

 しかし、猛暑が常態化しつつある今、女性が求めているものは、それだけではない。 満員電車で汗をかいてもニオイを抑えたい。外回りや職場で汗ジミを気にしたくない 。香りでごまかすのではなく、汗やニオイの発生そのものを抑えたい 。職場でも問題にならない無香料・微香性がいい 。朝塗ったら、できれば夕方までもってほしい 。

 こうしたニーズは、決して特殊ではない。むしろ働く女性、育児や介護で動き回る女性、屋外で過ごす時間の長い女性にとっては、かなり切実な生活課題だ 。実際、マンダムの意識調査でも、男性に比べて女性は「汗が気になるとき、自分のパフォーマンスや行動が大きく制限される」と感じる人がより多いという結果が出ている。

 それなのに市場は長らく、女性に対して「香り」「かわいさ」「やさしさ」を前面に出してきた 。もちろんそれ自体が悪いわけではない。問題は、それらが女性のニーズの全体であるかのように扱われ、より強い防臭力や持続力、機能性への需要が過小評価されてきた可能性があることだ。

 女性向け汗ケア市場は「女性向け」を掲げながら、女性の切実な機能需要を十分に拾いきれてこなかった。結果としてニーズを取りこぼしてきたのではないだろうか。