
りんと直美の大げんか
りんに看護婦をやめろと引導を渡すにあたり、直美はその先のことを考えて、捨松(多部未華子)に職を紹介してほしいと頼んでいた。その結果、新潟の女学校で舎監をやる口が舞い込んだわけだが、新潟である。東京からは通えない。環(英茉)を連れていくこともできない。
いい条件ではない。
膝を抱え「振り出しに戻っちゃった」としょんぼりするりん(このカットもこれまで見たことないいい画)。
直美は前向きに提案するが、りんは聞く耳を持たない。
「ごちゃごちゃごちゃごちゃ駄々こねて」と直美はキレる。
「自分で稼ぐあてはないけど、私がお金出すのはいや。新潟に行くのもいや。だけど環ちゃんは女学校にやりたい。それなら誰か見つけるしかないでしょ」
「環と私の人生、他の誰かに委ねたくない」
りんは意地をそこだけはきっぱり。
「だったらどうするの? りんの知らないところでいろいろやったら怒るんでしょ?」
「そりゃ、怒るよ」
「私だって怒ってるよ。私の知らないところで山本さん連れ出して」
そこで、そもそも論になる。そもそも、同僚であり、看護婦取締である直美になぜ、山本さん(本田大輔)のことを相談してくれなかったのかと直美はいら立つ。
「言えるわけないでしょ。直美さん、看護婦取締なんだよ」
「でも先に私に相談してくれたら」
直美としては、何かしらアイデアが出せたのではないかと悔やむ。確かに。誰かに相談したら、もっと適切な方法がみつかったかもしれない。りんのやったことは明らかに悪手であった。でも、たらればを言っても仕方ない。
「生真面目で要領悪い。正しくありたいなんて言うわりに、大事なところで、1人でとんでもない方に突っ走る。今回も、初めて会ったときだって――」
と、火事で婚家から逃げてそのまま東京に着の身着のまま来てしまったりんの浅はかさを引き合いに出すと、りんはりんで「私にまで悪ぶらないでよ」「平気で嘘(うそ)はつくし、手先は不器用でずぼらなくせに、私よりずっと細かいこと気になって、人の気持ちに気づいちゃう」と言い出す。
もう支離滅裂だ。直美はなんだかんだ言って、りんより賢いということを突きつけられてしまうのだ。
おもしろい! おもしろ過ぎる会話! 第76回にしてヒットが出た。
ここまで、お互いの言葉を遮りながら本音をぶつけ合う会話を朝ドラで描くとはあっぱれだ。整理されていない感情のぶつかり合いを見事に演じてみせた、見上愛と上坂樹里にも大きな拍手を送りたい。でも、こういうむきだしの会話が好きではない視聴者もいるだろうなあ。







