「おかしいでしょ。ふつうじゃないでしょ」

「でれすけ!」
「でれすけ!」

 めそめそするりん。

 心配する美津(水野美紀)と環も交え、直美は「決めた」と何を決めたかというと、「私、この家の本当の家族になります」「環ちゃんのふたり目のお母さんになる」と宣言。

 りんが新潟に行く間に責任を持って環の面倒を見るというのだ。

「私が家族になりたいの。ならせてください」
「おかしいでしょ。ふつうじゃないでしょ」

 おかしい。この人たちはなんだかおかしい。直美も、りんのことを心配していたかと思ったら、「家族になりたい」と自己主張をはじめるのだから。ほんとうに自分の言いたいことばかりを相手に主張するムーブなのだ。

 ただ、直美は、そう言わないと、りんが決意できないと思っているのかもしれない。看護婦辞めろという前に職探しているのと同じように。

 美津はりんだって「おかしい」と指摘。これまで世間と違う道を歩んできたじゃないかと直美のかたをもつ。

 りんの夢を手伝いたい直美。りんの夢は「環が好きな夢をもてるように、元気で働くお母さんでいること」。

 そのためには環と離れて、遠い新潟で働かないとならない。

「寂しいけどいいよ」
「寂しいと悲しいは違うでしょ」
「寂しいけど、お母さんが夢かなえるのはうれしい。この頃お母さんが元気ないのは悲しい」

 環は子どものあどけなさをことさら振りまかないのが良い。はきはき話さず、アンニュイな感じも良い。

「だいじ。お母さんならできるよ」と大人っぽくりんを励ます環。

「自分の力で生きることは諦めたくない」

 いやもうかなり他人の力に頼って生きていると思うが……。

 とうとうりんは新潟に行くことを決意して、りんも直美も涙する。

 なんで直美も泣いているのか。それだけりんが心配だったのだろう。

 りんは直美に環の好物である小魚の佃煮の作り方を伝授する。

「包丁も使わないし、簡単だから」

 再び、台所に立つりんと直美、そして猫の声で第76回はきれいにまとまった。

シングルマザーが単身赴任…残される娘の「健気すぎるひと言」が切ない〈風、薫る第76回〉
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