「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。
そんな木下氏が考える「仕事で評価される人がノルマの奥に見ていること」とは? ライターの照宮氏が報告する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

仕事で圧倒的に評価される人がノルマの奥に見ているたった1つのことPhoto: Adobe Stock

十人十色の仕事

出版社で働いていたとき、編集者の仕事ぶりを間近で見ていた。

編集者には、担当冊数のノルマがあり、何冊担当したかが個人の成果として数字に表れる。
それゆえ、本が書店に並んだ時点で、ひとつの区切りとする編集者は多い。
著者への連絡も発売を境にぱたりと減り、次の企画へと意識が移っていくことが多かった。

一方で、発売後も営業と連携して書店回りや自身のSNSで告知を続け、著者と関わり続ける編集者もいる。
重版(本が売れて第2刷、3刷となること)がかかっていく本というのは著者の力だけではない。こういった編集者の地道な努力が実を結ぶケースもある。

評価される人がノルマの奥に見ていること

忙しい人ほど読んでほしいと言われるビジネス書を書き続ける木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』でこう述べている。

チームが今、会社のために何をすべきかを考え、そこから作戦を立て、メンバーに役割を振り分け、最後に残った部分を自分が担う。それがリーダーの仕事です。
選手兼監督だからこそ、「自分がどれだけ活躍するか」ではなく、「チームが勝つために自分はどの役割に回るべきか」を最初に考える必要があります。

――『地頭スイッチ』

刊行点数を積み上げる編集者は、選手として動いている。本を世に送り出すことが仕事であり、そこに集中する。それ自体は間違いではない。
ただ、発売後も動き続ける編集者は、自分がどの役割に回るべきかを考えて動いている。

本を売るというチームの目的に対し、自分は今どこを担うべきか。それを意識できているかどうかが、同じ刊行点数でも積み上がるものを変えていく。

数字の「先」を見る習慣をつくる

プレイヤーとして結果を出すことと、チームの目的に対して自分の役割を考えて動くことは、同じ仕事をしているようで、まったく別の動き方だ。

自分が今どの役割に回るべきかを考えながら動けているか。その差が積み重なって、数年後に立っている場所を変えていくのだと思う。