実は「妻の反対」が
辞退の口実に使われるケースも

 最も重要なこととは、転職する本人の本気度です。

 極端なケースでは、本気の本気で説得しても分かってもらえないなら、選択肢に離婚も入ってくるかもしれません。

 ただ、説得できないケースのほとんどは妻の反対が強いからではなく、本人の本気度が足りていません。

 長く転職支援をしている中で、最近は「妻の立場が強くなっている」と感じることが多いです。これは私が昭和生まれのため、余計そう感じている側面があるかもしれませんが、たとえば企業からオファーが出て「どうしますか」と尋ねると、年収が下がるわけではないのに「ちょっと妻に聞いてから」と、即答しない人が増えました。

 私がこの連載で「嫁ブロック」という言葉を使い始めた2014年くらいから、妻の反対を理由に転職オファーを辞退するケースも目立つようになりました。

 ただし、よく話を聞いてみると、本人の中にもともと迷いのあった人が、妻の反対を理由に辞退してくるケースのほうが多いと感じています。本気で説得すれば状況が変わる可能性があるのに、それをしていないのです。

反対の背景にある生活への不安
それを覆すのに必要なものは?

 ただし、年収900万円から800万円へのダウンの影響は、決して小さくありません。

 単純に12カ月で割れば約8万円強の減額。子どもの習い事が2つ減るような金額で、旅行の回数を減らしたり、住宅ローンなどの事情によっては牛肉を鶏肉に変えるような節約が必要になるかもしれません。

 しかも中学受験を考えている家庭なら、塾代を減らすのは難しい。独身者の年収が100万円下がるのと、子ども2人を抱えた家庭で100万円下がるのでは持つ意味がまったく違います。

 つまり、妻の「安定しているから転職しないで」という言葉の裏には生活水準が下がる、子どもの将来に影響が出かねないという具体的な不安があります。共働きの人なら自分の働き方や家事・育児の負担が重くなるかもしれない。そうした不安から夫の転職に反対するのは無理もありません。