そして住宅メーカーは全国展開しているがゆえに従業員も多いため、人件費がかかる。広告宣伝費も高額になることだろう。

工務店のほうが
よく見える理由

 住宅メーカーの本社機能を考えただけでもおわかりとは思うが、私が在籍していた住宅メーカーでは、従業員全体3000名に対し、営業に携わらない総務や人事の事務方だけで100名は在籍していただろう。

 これに対して工務店なら本社には事務員数名くらいなものだろう。企業にとっていちばんは人件費、この違いは大きい。

 対顧客についていえば、住宅メーカーは自由設計とはいっても、ある程度、制限されることも多い。

 とくに在来工法の住宅メーカーの場合、建築基準法に加え、さらにその会社独自の設計ルールが存在する場合があり、これが自由度を奪う原因にもなる。これに対し、工務店は住宅メーカーよりはるかに自由度が高い設計に対応しているといえるだろう。

 見積書の内訳の出し方も大きく違うことが多い。住宅メーカーの場合、見積もり作成の簡素化とスピードに重点を置いているので、「一式」という表記が多い(一式○○円)。

 工務店はキッチリ、メーターいくら(○○メーター○○円)で表記することが多い。見積書の出し方としては、たしかに工務店のほうが親切かもしれない。

 実際、私自身、お客さまから「一式って、いったいどういうことだ!一式の内訳出せ!!」といわれたのは一度や二度の話ではない。

 しかし、見積もり作成のシステム上、こういう出し方しかできないのが住宅メーカーの宿命。もし、これに納得できなければ、「ご縁のなかったことに……」で終わりである。

 ここまで聞くと、工務店のほうがいいんじゃないかという気もしてくるが、注意しなくてはならない部分もある。

「長持ちする家」が
高くつく理由

 日々、ノルマに追われたバナナの叩き売りのような住宅メーカー、とくにローコスト住宅メーカーに対して、お客さまの要望に柔軟に対応する工務店。ここには柔軟に対応できるがゆえの社長や建築士の「こだわり」が生まれてくる。