意識しているのは、常に“空気清浄機”であること

 浮き沈みの激しい芸能界で、長年にわたって第一線で活躍するのは容易なことではない。殊にリーダーは、時代の波を読みながらグループを牽引していく重要な役割でもある。肥後さんはダチョウ倶楽部のリーダーとして、どのようなことを心がけてきたのだろう?

肥後 僕は、性格的にグイグイ突き進むタイプではなく、沖縄育ちならではの持って生まれたゆるさがあって……63歳となった現在もそうですが、どちらかといえば、人についていきたいタイプ。意識しているのは、常に“空気清浄機”であることです。物事を進めていく力があまり強くない僕は、メンバーが「ああしよう、こうしよう」と提案するものを交通整理し、相手が動きやすいよう、空気を良いものに整えていくだけです。だから、僕のフィルターはいつも真っ黒(笑)。引っ張るわけでもなく、方向を示すわけでもなく、なんとなくまとめていくというのが、昔も今も、リーダーとしての僕のスタイルです。

 バラエティ番組をはじめ、エンタテインメント界で欠かせない存在となり、視聴者に笑いを提供してきたダチョウ倶楽部。しかし、コロナ禍の2022年5月に上島竜兵さんが急逝。リーダーの肥後さんは深刻な局面に立った。

肥後 上島が突然いなくなって、日本中が「うぅ……」となっているし、当時、情報番組の司会を務めていたのが、極楽とんぼの加藤浩次くんやバナナマンの設楽統くんといった仲間たちだったから、生放送で彼らにつらい役目をさせてしまうのが申し訳なくて。そうした仲間やテレビの前の皆さんの胸につかえたものを取り除くことができるのは僕しかいないと思い立ち、かしこまった挨拶文ではなく、コントのネタを作っているような感覚で、上島の追悼コメントを書き上げました。

「追悼コメント」は、大切なメンバーを失った悲しみとともに、頬が緩むような愛情たっぷりのメッセージだった。涙と笑いが同居する、ダチョウ倶楽部らしい別れの形を示した肥後さん。そして、2人きりになったダチョウ倶楽部を盛り上げようと、ジャンルを超えたさまざまなコラボレーションが実現した。

 肥後さん自身は、バラエティ番組だけではなく、俳優として、NHK大河ドラマなどに出演したほか、初の著書『頼る力』を刊行。芸能生活やプライベートのエピソードを交えながら、人と人が信頼し合い、助け合うことの大切さを綴っている。

肥後 「頼る」といっても、誰かにすべてを丸投げするわけではありません。頼る相手がいても、立っている足は自分の足です。自分で踏ん張り、自分に軸を置いて進んでいく。それが僕の生き方です。頼り、頼られ、人はさまざまな人と関わりながら歩いていくもの。誰かを頼ったり、わからないことを尋ねたりするのって、簡単なようでいて、実は結構難しかったり、初めの一歩を踏み出せなかったりしますよね。でも、困ったときは周りにどんどん頼っていい。そんな選択肢があっていいと思うんです……と言いつつ、僕自身、後輩から相談を受けることはあっても、頼られることはほとんどありません(笑)。