上司が部下に接するときに心がけたい姿勢は?

 時代が変われば、言葉の受け取られ方も変化する。昔の常識が通用しづらい時代に、世代の異なる相手とどう向き合い、どうすれば、適切な意思疎通ができて、良い人間関係を築けるのか? 

肥後 言葉を選びながらコミュニケーションをとり、方法を間違えたときは、「そういうつもりじゃなかった」と素直に謝ること。上司が部下に謝ると、なんとなく“負けた”みたいな空気になりがちですが、勝ち負けではなく、相手へのアプローチを変えただけだと考えればいい。そうすることで、部下も、「あの人が謝ってくれたのだから……」と、自ずと寛容になる。意見が食い違ったときは、相手が同世代なら「こういうことじゃないの?」とやりとりするうちに考えの整理がついて、本音をさらけ出すことがストレス発散にもつながる。そういう対話のラリーも、コミュニケーションの醍醐味のひとつだと思います。

 若手社員は、上司に気に入られることが出世への近道だから、「ゴマをすっておけ」みたいな接し方もあるでしょう(笑)。上司にとっても、部下から歩み寄られることで悪い気はしません。でも、過剰なゴマすりは一歩間違えると“虎の威を借る狐”のように見られ、周囲を敵に回してしまうので、その加減は気をつけたほうがいいですね。芸人の世界でもイキっている若手がいたとして、調子がいいときはみんなが相手をしてくれるけど、調子が落ちれば“一気の手のひら返し”で“干される”こともあります。

 人間関係を円滑にするために、「これを言ったらハラスメントにあたるのではないか?」と立ち止まり、しっかり考えてみること。部下が上司に失礼な発言をしても「あいつ、生意気だな」で済みますが、その逆だったら一発アウトですからね。職場の上司が部下と接するときは、より慎重になるべきでしょう。

 還暦を過ぎた現在も、ダチョウ倶楽部は芸能界の最前線で強い存在感を放ち続けている。その人気を支えているのは、リーダーである肥後さんの空気感に加え、時代の波に抗わずに自分たちの芸風を貫く姿勢だ。人生100年時代――肥後さんのように“ゆるく楽しく”生きていくには……。

肥後 自分が「きついな、合わないな」と感じたら、辞めてしまってもいいと思うんです。ある程度の年齢になれば、状況が大きく変わることも少ないし、人生のゴールが見えてくる。だったら、開き直って楽しむしかないんじゃないかな。僕は63歳になりましたが、同世代の皆さんも、僕同様に、ネット社会についていけずに四苦八苦することがあるでしょう。僕なんて、SNSは、娘にすべて頼りっぱなし。たまにスマホの通知が止まらなくてあたふたしていると、娘が「もうしばらくしたら止まるから大丈夫」と冷静に教えてくれます。これも“頼る力”ですよね。僕の本の表紙にある、「ゆるく楽しく」を意訳するとしたら、「ご自愛ください」という言葉がいちばんしっくりくるかな。困ったときは人を頼ればいい――結局はこの一言に尽きると思います。