
タレント・歌手・俳優……多方面で芸能活動を続けるつるの剛士さんは、2男3女の父親としての日常もSNSで発信し、大学で教育学や心理学に向き合ったうえで、幼稚園教諭2種免許、保育士資格を取得した。また、新卒者(2026年4月入社予定者)向けの媒体「フレッシャーズ・コース2026(*)」にも出演し、若年層にエールを贈っている。そんな、つるの剛士さんが考える、生涯での“学び”とは? 世代間のコミュニケーションとは?――「HRオンライン」が話を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)
* 「フレッシャーズ・コース2026」(ダイヤモンド社)は、全7巻ワンセットの新卒内定者フォローツール。つるの剛士さんは、第3巻の「The Life」(著名人インタビュー)に出演している。当インタビューの一部分は、同コーナーから転用
「より専門的な学習をしたい」と、一念発起して…
つるの剛士さんは、22歳のときに「ウルトラマンダイナ」(TBS系・1997~98年/地上波テレビ放送)の主人公=アスカ・シン役に抜擢されて、一躍、若手俳優の注目株になった。その後、バラエティ番組への出演でも人気を集め、番組からの派生ユニット「羞恥心」を結成。「第59回 NHK紅白歌合戦」(2008年)の出場も果たした。
現在、多岐にわたる芸能活動や趣味、自分自身の勉強の話に加え、2男3女の父親としての日常もSNSで発信している。
つるの “人生100年”と言われる時代で、僕はその折り返し点の50歳を今年(2025年)5月に迎えました。「これから、どんなふうに生きていくのだろう?」と漠然と考えたのが2019年頃で、芸能界で初めて育児休暇を取ったことや5人の子どもを育てている経験から、「より専門的な学習をしたい」と一念発起して、短期大学に入学。その矢先にコロナ禍になりましたが、「番組のロケやライブツアーができなくなった」と悲観するのではなく、「時間ができた!学生に徹しよう!」とマインドを切り替えて、スクーリングの日は電車で通学し、昼休みは同級生と弁当を食べて、充実したキャンパスライフを送りました。そして、「幼稚園教諭2種免許」を取得し、保育士試験にも合格。改めて、「勉強って面白いな」と実感したのです。

つるの剛士 Takeshi TSURUNO
タレント・歌手・俳優
1975年、福岡県出身。「ウルトラマンダイナ」の主人公アスカ隊員役で人気を博す。2008年には、フジテレビの人気番組「クイズ!ヘキサゴンⅡ」にて上地雄輔・野久保直樹とともにユニット「羞恥心」を結成し、リーダーとしても活躍。その後、カバーアルバム『つるのうた』をリリースして(ソロ歌手デビュー)、35万枚のセールスでオリコン1位を記録した。大学への入学で勉強を続けながら、幼稚園教諭2種免許、保育士資格を取得。趣味・特技は、将棋・楽器・釣り・キャンプ・サーフィン・野菜作りなど。2男3女の父。今年(2025年)6月に著書『「心はかけても手はかけず」つるの家伝統・見守り育児 つるのの恩返し』(講談社刊)を発表した。
幼稚園教諭2種免許の取得など、つるのさんの有言実行を目の当たりにした周囲の人は一様に驚いたが、本人は「がむしゃらにやっていただけ」と振り返る。一方で、達成感を味わい、「学ぶ喜びを知ったものの、当初の目的を果たしたことで、燃え尽き症候群のような状態に陥ってしまった」とも言う。そうして、「もっと勉強したい!」という思いで、別の大学の3年次に編入し、“子ども心理学”を学び始めた。
つるの 僕は、無我夢中で子育てをしてきたのですが、大学で一から子どもの心理を学んだことで視点がガラッと変わり、子どもと関わることにも学問の体系があることを知りました。幼稚園の先生や保育士さんは、それを学習したうえで仕事に向き合っているのだ、と。幼児教育について、よく見えるメガネをかけたように、見るものすべての世界が変わり、一気に解像度が上がりました。経験で得た点と点が、学問を通して線になっていくさまが痛快で、学習することが楽しくてしょうがない――筋トレにハマっている人が、足しげくジムに通うのと同じような感覚で、僕は“学ぶこと”の虜になりました。