マシンガンズ滝沢秀一さんが語る、 “ふたつの仕事”をずっと続ける理由

仕事は何のためにするのか? 「お金を得て、生活するため」と答える人が多いだろう。だから、お金を得るために、好きでもなく、得意でもない仕事に向き合っていくこともある。お笑いタレントの滝沢秀一さん(マシンガンズ)が収入のために始めたのはゴミ清掃の仕事――「働き始めて、すぐに辞めたい!と思いました」と当時を振り返るが、いまでは、使命感を持って、“お笑い”の仕事とともに、ゴミ清掃の仕事を続けている。新卒者(2026年4月入社予定者)向けの媒体「フレッシャーズ・コース2026(*1)」にも出演している滝沢さんに、“ふたつの仕事”を続ける理由を語ってもらった。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)

*1  「フレッシャーズ・コース2026」ダイヤモンド社)は、全7巻ワンセットの新卒内定者フォローツール。滝沢秀一さんは、その第5巻「The Life」(著名人インタビュー)コーナーに出演中。当インタビューは、同コーナーを加筆したものになっています。

収入を得るために始めた、ゴミ清掃の仕事で…

 東京都足立区の公式ホームページ、公益財団法人東京都環境公社といった、芸能界とは無縁に思われるメディアでも、多くのインタビューを受けているお笑い芸人の滝沢秀一さん(マシンガンズ)。SNSでの情報発信や多数の著書で知られているように、滝沢さんは「ゴミ清掃員」としての顔を持ち、環境省から「サステナビリティ広報大使」にも任命されている。

 いったい、どのようなきっかけで、「ゴミ清掃」の仕事を始めたのか? プロフィールを紐解くと、滝沢さんは、カルチャースクールで知り合った西堀亮さんと、1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成し、コンビを組んで9年目にテレビ出演(地上波放送出演)を果たしているが……。

滝沢 当時、“お笑い”で飯を食えたのは3年間だけでした。だんだん収入が減り、妻の出産のためにもまとまったお金が必要で、アルバイト先を求めて、たくさんの面接を受けたのですが、年齢を理由にすべて落ちてしまい……藁にもすがる思いで、昔の芸人仲間に電話して、やっと得られたのがゴミ清掃の仕事でした。

マシンガンズ滝沢秀一さんが語る、 “ふたつの仕事”をずっと続ける理由

滝沢秀一  Shuichi TAKIZAWA

お笑いタレント(マシンガンズ)/ゴミ清掃員

1976年、東京都出身。1998年、西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。2012年、お笑い芸人を続けながら、ゴミ収集の会社に就職。2014年には、小説『かごめかごめ』(双葉社)を発表する。2020年、「サステナビリティ広報大使」(環境省)に就任。『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『すごいゴミのはなし ゴミ清掃員、10年間やってみた。』(学研)など、著書多数。今年(2025年)7月には、『僕の仕事はごみ清掃員。』(河出書房新社)、『まんがで読める ごみってなんだろう? 世界一わかりやすいごみの本』(講談社)が発売された。2023年、「THE SECOND~漫才トーナメント~」で準優勝。2児の父。プロ野球チーム・中日ドラゴンズのファン。

 生計を立てるために、父親になるために始めた副業――経済的な見通しは得られたものの、早朝にゴミ清掃員のユニホームに着替え、青色のトラックに乗り込む “未知の仕事”は、滝沢さんの想像以上に過酷なものだったという。

滝沢 職に就いて2回目の残暑厳しい日――ゴミ収集所にはペットボトルがあふれ、清掃員のリーダーは体育会系の人で、僕は3時間走りっぱなし。水分補給のタイミングを間違えて、熱中症になりかけながら、街なかのゴミを回収しました。「この仕事は無理!」と思いましたが、新たな仕事を見つけることの苦労を思うと、簡単に辞めるわけにはいかず……その頃、僕がいちばん避けたかったのは“お笑い”を辞めること。幸い、ゴミ清掃員と芸人の仕事は両立できたのですが、本音は「お笑い一本で飯を食いたい」。でも、生活のためには、ゴミ清掃の仕事を続けるしかなかったのです。