しかし、ホームランが量産されたシーズンの15本塁打と、ほとんど出なかったシーズンの15本塁打では、価値がまったく違うことはわかるでしょう。リーグ内に基準を設定し、それとの比較で選手を評価すれば、環境が変わっても選手の真の働きを見失わずにすむ――これがMLB流の考え方です。

WARは「勝利」を単位にした数字の王様

 その集大成が、WAR(Wins Above Replacement)です。「同じだけ出場機会を得た補欠レベルの選手と比較して、その選手がチームにどれだけの勝利をもたらしたか」を示す、数字の王様のような指標です。

 MLBには、選手の働きを得点に換算した数字がたくさんあります。WARはそれらを組み合わせ、得点貢献を勝利貢献に変換することで完成します。統計上、およそ10点の得点貢献が1勝分の勝利貢献に相当するとされています。

 重要なのは、WARが打撃・走塁・守備・投球のすべてを「面積」でとらえる点です。縦軸に貢献の質、横軸にその質をキープした期間をとると、ひとつの長方形ができあがる。

「打撃」「走塁」「守備」「投球」の4項目でつくった長方形の合計面積がWARです。貢献の「質」と、それをどれだけ継続したかという「量」の掛け合わせ。細く長く活躍した選手も、太く短く活躍した選手も、同じ土俵で評価できるのです。

大谷選手の2025年を“勝利”に換算すると

 では、この物差しで大谷選手を測るとどうなるでしょうか。

 2025年の大谷選手は、補欠レベルの選手に対して野手として約73点を上積みし、投手としては約18点を阻んだ計算になります。