ドジャースの大谷翔平ドジャースの大谷翔平 Photo:Ryan Kang/gettyimages

フリーエージェントとなっていた大谷翔平選手は、米大リーグのドジャースと総額7億ドルで10年契約を結びました。7億ドルを日本円に換算すると(1ドル=145円で計算)、約1015億円。一体どれほどの税負担があるのでしょうか。今回は、大谷選手が居住しているアメリカの税制や、モナコ公国、ドバイの「タックス・ヘイブン」を踏まえて、大谷選手の所得税への節税対策を検討します。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

ドジャースと大谷選手の双方に
メリットが大きい契約金の後払い

 12月11日、米大リーグのドジャースと10年総額7億ドル(日本円で約1015億円、1ドル=145円で計算)で超大型契約を結んだ大谷翔平選手。気になるのは、この巨額の契約金に対し、所得税がどの程度かかるのかということです。

 アメリカの連邦税とカリフォルニア州における州税の税率は、大谷選手の年俸だとそれぞれ最高税率(連邦税37%、カリフォルニア州税13.3%)が適用され、計50.3%の税率がかかることは明らかです。しかし、方法によっては、アメリカにおける非居住者に対する源泉徴収の税率30%を考慮した、合計20.3%分の、およそ200億円を節税できる可能性があります。

 しかし、大谷選手はこの巨額契約の97%にあたる6億8000万ドル(日本円で約994億円)を後払いにより受け取ることとしました。最大の目的は、球団の年俸総額が一定の金額を超えると発生する「ぜいたく税」を抑えるためだといわれています。

 仮に、ドジャースが大谷選手へ10年間毎年7000万ドルの年俸を払い続けた場合、その間ドジャースには「ぜいたく税」が課税され続ける結果となり、チームの補強ができなくなる可能性があるのです。

 ですが、この後払いによって、大谷選手自身にも大きな節税効果があると考えられます。それは一体どのようなものでしょうか。

 もし、7億ドルを一度に受け取った場合、大谷選手には莫大な所得税がかかり、単純計算でも7億ドルの50%以上は税金として徴収される可能性があります。しかし、大半を後払いにして10年後に受け取る場合、ドジャース契約終了後に州税の軽い、もしくは州税のない州へ移住すれば、節税を見込めるかもしれないのです。

 今回の提案は、ドジャースにとっても大谷選手にとっても、メリットの大きいものだったと考えられます。