「モチベーション低下に課題を感じない企業は業績好調な企業である」との調査結果もある通り、モチベーションを問題視する企業は業績が思わしくないケースが多いのです。業績が思わしくない理由を社員のせいにしているわけですから当然です。

 特に、「やる気」という精神論的なところに業績低迷の原因を求めるのは、思考が働いていない証拠でしょう。「うちの社員はモチベーションが低い」なんて言う経営者の下では誰も働きたくはないのではないでしょうか。

 社員に対して、「若いのだから、もっと危機感を持て!元気を出せ!」と言う経営者もいますが、それは無理な話です。経営者は常に光が当たっているので、業績が上がれば、経営者の手腕と社内外で認知されます。社員は裏方であり、そのようなモチベーション装置は働きません。限られた役割の中で、一部の機能を果たしているに過ぎない一社員が、経営者と同等の危機感が持てるわけもないのです。

 そもそも、「やる気を出せ」というコメントはアドバイスと言えるのでしょうか。「やる気を出せ!」、「モチベーションを上げろ!」と上司から言われたとして、あなたはどのような気持ちがするでしょうか。何かしら、情けない気持ちになりはしないでしょうか。

「やる気がない」ということを前提に批判されていることになりますが、批判されるにしても、仕事の中身や仕事の仕方ならまだわかります。しかし、問題視されているのは「やる気」です。まるで子ども扱いです。

やる気至上主義が蔓延する
職場に起こる弊害

 同時に、そのようなアドバイスをする上司に対しては、どのような印象を抱くでしょうか。

「デキる上司だなあ」との尊崇の念は持ち得るのでしょうか。決してそんなことはないでしょう。「あのような上司にだけは決してなるまい」と反面教師の典型例として記憶に刻まれるに違いありません。もちろん経営者や人事部がそういう場合も同様です。

 自分で「自分のモチベーションが低い」と言う人もいます。どうしたらもっと成果が上がるのか、具体的な思考を巡らすことなく、「モチベーションが上がらない」と、単にやる気のせいにしてしまうのです。