「本気を出せば自分だって」と、十分な実力も身に付いていないのに思っているような場合も同様です。かつての同僚で、「やる気が出ねー」というのが口癖の人がいました。仕事が捗らないのは自分の能力が低いからではなく、単にやる気が出ないだけだと言いたげでした。さらには、自分がやる気が出ないのは、会社に問題があるとも言いたかったのかもしれません。
本当に忙しければ
余計なことを考える暇はない
もう1つ、この件に関しては気になる点があります。モチベーションというものは、会社員特有の問題ではないだろうかという点です。たとえば個人商店主、青果店の店主や鮮魚店の店主は、「今日はモチベーションが上がらない、やる気が出ない」なんてことは言いません。
体調が優れないことや、面白くないことがあった時でも、やる気があろうがなかろうが、毎日やるべきことをやらなければならず、毎朝早くから市場に赴くのです。そうしなければ生計が成り立ちません。モチベーションなんていうことを考えている暇はないのです。
会社員の場合、そういうことを考えている余裕があるから、モチベーションが問題になるとも言えるのではないでしょうか。比較的余裕のある職業生活を送っているがゆえ、モチベーションなんていうことを考えるようになるとは言えないでしょうか。「モチベーションが上がらない」というのは、ほどほどにやっていても給料がもらえて生計が成り立つ立場にある人たちの贅沢な悩みなのです。
会社員だとしても緊急事態ではモチベーションなんていうものは吹っ飛びます。ある日突然、会社が大きなリストラをしなければならなくなり、全社員の半数が解雇されることになったとします。そのような状況において社員は、出社して、「今日はやる気が出ないなあ」なんてことを思ったりするでしょうか。そもそもモチベーションという考え自体、出てくる余地はないでしょう。
結局、仕事のプロセスに没頭している時にも、あるいは、現状に十分な危機感を感じている時にも、モチベーションという概念は消失していることになります。







