2.生前贈与の記録を
「証拠付き」で残す
生前贈与についても、きちんと事実や証拠を確認した上で相続税申告に臨む必要があります。2024年の税制改正により、相続財産に加算して計算すべき生前贈与の期間が「3年」から「7年」へと大幅に延長されました(※現在は段階的に適用中、2031年に完全施行)。
加算対象期間の延長に伴い、実務への影響も段階的に大きくなっていきます。例えば、2028年には加算対象期間が4年、2029年には5年、2030年には6年、2031年には7年となるため、税理士もこれまで以上に過去の生前贈与や資金移動の経緯を確認することが重要になります。
生前贈与は相続税申告前に
「実態の把握」が重要
――正しく贈与していたつもりでも、問題になることがあるのですか?
はい、非常に多くあります。民法上、贈与は「あげる」「もらう」という当事者双方の合意によって成立する契約です。そのため、単に口座へお金を振り込んだだけでは、生前贈与として認められるとは限りません。客観的な証拠や受贈者の管理実態がなければ、税務署から被相続人の財産と判断される可能性があります。
生前贈与を認めてもらうためには、単に口座にお金を移すだけでなく、以下の実態を備えておくことが重要です。
1.贈与契約書が作成されており、当事者双方の合意が書面で残っているか
2.受贈者本人が通帳や印鑑を管理・使用しているか
3.贈与された財産が、被相続人の財産と区別して管理されているか
税理士が申告書を作成する際は、これらの証拠を一つずつ確認し、適正な相続税申告となるよう検討を行います。
また、税理士が申告書を作成する際には、「書面添付制度(税理士法第33条の2)」を利用することがあります。これは、申告書の作成に当たり、どのような資料を確認し、どのような事項を検討したかを税理士が書面で明らかにする制度です。
書面添付がある場合には、税務調査の前に税務署が税理士へ意見聴取を行うことがあります。税理士が申告内容や検討経緯を事前に説明できるため、税務署の疑問点や不明点が解消され、結果として税務調査に至らないケースや、円滑な対応につながる場合もあります。
生前贈与や通帳の入出金について不安がある場合は、早めに税理士へ相談し、書面添付制度の活用についても検討するとよいでしょう。







