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相続税を申告した人のおよそ1割に対して行われるのが(実地)税務調査。その8割で申告漏れが指摘されるため、財産額が多い富裕層にとって、国税調査官は鬼より怖い存在だろう。連載『富裕層必見!資産防衛&節税術』の第32回では、数多くの富裕層と接してきた税理士が、相続税への税務調査のポイントと、その対策を伝授する。(税理士法人レガシィ代表社員税理士・公認会計士 天野 隆)
鬼より怖い税務調査
国税調査官の手法とは?
本稿では、相続税に対する税務調査において、国税調査官(以下、調査官)が狙う五つのポイントにフォーカスして解説しよう。
〈1〉調査官はあなたの「目」を見ている!
財産規模が大きい案件では、おおむね2人1組で資産税担当の調査官がやって来る。被相続人(亡くなった人)の自宅に来るわけだが、もちろんアポイントメントを取ってからの訪問で、税理士を通じて日程が調整されるのが通例だ。さて、当日の調査はどんな流れになるかというと、若手の調査官はごく普通に質問をしてくる。一方、ベテランの調査官が注視するのは、相続人(財産をもらう人)の「目つき」と「視線」である。
人は隠している物があると、その隠している方向にちらっと目が行く性質がある。ちらっと見てすぐに元に戻しても調査官は見逃さない。わざわざ自宅に訪ねてくる理由は、怪しい物がないか調べるためだからだ。
〈2〉雑談めいた「質問」の真の目的は?
「(故人は)若い頃、どこで仕事をされていたのですか?」
調査官によるこの質問の意図は何か?もちろん、世間話などではない。遠隔地の銀行に大金が預金されていないかを確認しようとしているのだ。人はなじみのない地域の銀行に預金口座は持ちにくい。自宅周辺、会社周辺の銀行はすでに調査済み。申告漏れがないかどうかは調べが付いている。ところが、遠隔地はおいそれと分かりにくいため、その当てを付けるための質問なのだ。
これに似た質問として、「趣味」について聞かれることも多い。
「ご趣味は何でしたか?」という調査官の質問に、「ヨットが好きでした」「馬主をしていました」「時計のコレクションです」などと返答すれば、調査官はしめたとばかりに「もう少し過去にさかのぼって預金通帳の支払いを精査しよう」となる。また、「海外旅行が趣味だった」と答えたならば、「海外に投資先があるのではないか?」と勘繰られてしまうわけだ。
つまり、さまざまな質問をしながら故人の生前の生活ぶりを知ることで、どこに何が隠れているかを把握しようとする。調査官は相続人の何げない返答にそのヒントを探していると心得よう。
以上の二つは調査官の常とう手段。次ページでは、近年の税務調査でメインターゲットにされている財産の種類や、相続人が絶対にやってはいけない言動などを解説する。







