華やかな世界で生きる女性たちの
悲哀と自己探求を描いた初期の名作

 初期の名作に『恋はお手やわらかに』(『りぼん』70年1月号~6月号)、『風の中のクオレ』(同、70年8月号~12月号)、『こいきな奴ら』(同、74年1月号~77年3月号、オムニバス作品、断続発表)などがあります。

『ハートに火をつけて』(『りぼん』73年2月号)では、女優のセシル・ドナヒューの妹(ということになっているが実は娘)の主人公ジョセフィンは、実母譲りの美貌で男たちにモテている女子学生ですが、恋多く計算高い母の考え方を踏襲するようにして、「恋は恋 結婚とは別よ 恋愛ごっこは楽しいけど結婚はままごとじゃないわ」という冷めた考えを持っています。

 一方、彼女が気になるほどの魅力を持つギランは、「女はいつだってそうだ…… 愛してもいないくせに結婚して 地位だとか名誉ばかり欲しがり いいかげんでうそつきで……」と嫌悪感を露わにします。

 そんな中、母セシルは自分が女優として人気を保っている間に有力者の妻の座に収まろうとして、外交官との関係を深めていました。その男性はギランの父であり、ギランとジョセフィンは義理の兄妹となるかもしれないことがわかります。

 しかもギランの母(つまり父の先妻)はハリウッドで活躍している大女優のキャサリン・ヒルで、だからギランは女に美しさしか求めない父も、男の名誉や地位に惹かれる女も軽蔑しているといった背景が浮かび上がってきます。そんなギランとジョセフィンの関係は……という物語ですが、華やかな世界を描きつつ、虚しさや倫理を超えた自己探求を描いている点で、『デザイナー』を準備する作品だったように思えます。

 そしていよいよ『デザイナー』が描かれます。この作品は濃厚な愛欲復讐譚でした。

 主人公の亜美は本名・年齢・経歴など一切がシークレットのファッションモデルですが、母に捨てられた過去があり、年齢は18歳です。

 彼女はファッション界に君臨する鳳麗香(おおとりれいか)のメインモデルに上り詰めますが、ここで不慮の事故にあって軽度ながら足に障害が残り、モデルとしては再起不能となります。

 そんな彼女に手を差し伸べたのは結城コンツェルンの若き総帥・結城朱鷺で、彼のすすめで亜美はデザイナーへと転職、実は亜美は麗香の娘であり、自分を捨てた母への復讐を目論んでいました。