私の周辺には『砂の城』好きの男が多いのですが、私は『デザイナー』の亜美や麗香さえも、尊敬というか畏敬する気持ちがあります。
彼女らの愛憎や怨念はさておき、自身が到達せんとする高みへの努力は、プリマドンナとなった『アラベスク』(山岸凉子)のノンナと同様に孤高の境地にあり、かつ自意識・自尊心の高さはノンナをはるかに凌ぐので、恋愛となるとお相手が務まる男性は極めて限られますが、たぶんそんなことよりも彼女らには、自分自身のありかたの完結が重要なのです。
一条ゆかりは自身の生き様(もちろん行動ではなく精神面で)を込めた作品『デザイナー』のあと、自身が苦手とするタイプの女性もきちんと描こうと取り組んだのが『砂の城』(第1部『りぼん』77年7月号~79年7月号、第2部・同、80年9月号~81年11月号)でした。
運命のいたずらに翻弄される
女性の一生を描いた『砂の城』
第2次世界大戦中の1944年春、フランスの裕福な家庭に生まれたナタリーと、彼女の誕生日に門前に捨てられていたフランシス(当時4歳)の生涯をめぐるドラマ。2人は兄妹同然に育てられるが、次第にひかれあうようになっていく。ナタリーの父は初めは反対したものの、2人の強い思いにほだされて交際を認める。
学業のためにフランシスは3年間家を離れるが、ようやく帰ってきた直後、ナタリーの両親は不帰の人となる。
ナタリーの後見人となった叔母は、2人の仲に強硬に反対。悲観した2人は死を決意して崖から海へ飛び込むが、ナタリーは奇跡的に救助された一方、フランシスは死体も見つからなかった。
ナタリーは彼のことを偲びながら学生生活を送ることになったが、フランシスを見かけたという噂を耳にして、彼を探しに行く。そして分かったのは、フランシスは生きていたものの記憶喪失になっており、ナタリーのことを忘れたまま結婚し、男の子も生まれているということだった。
ナタリーと再会したフランシスは記憶を取り戻すが、時すでに遅かった。しかも直後にフランシスが事故死し、彼の妻も後を追ってしまう。ナタリーは孤児になった彼の忘れ形見を「フランシス」と名づけて引き取るのだが、男の子は成長するにつれてナタリーを女性として慕うようになり、彼女もまた……という波乱万丈のストーリーです。







