ところで、実際にあった「ボブ事件」を知っているだろうか。米国の重要インフラ企業で働いていたプログラマーのボブ(仮名)は、社内では優秀だと評価されていたが、実は自分の仕事を年収の2割の金額で、中国の外注会社に丸投げしていた。アクセスするには物理的なトークンが必要だったが、国際便で送る周到ぶりだった。そうして勤務時間中、ボブはネットニュースと猫動画を眺めていた。

 結局最後は悪行がバレたわけだが、私はこの話を聞いたとき、笑いながら考え込んでしまった。もちろん情報の漏洩だとか、機器の第三者貸与などは大問題だ。ただ、ボブは年収の2割で仕事を代替させることで、自分の生活を豊かにしていた。ある意味で仕事を効率化していた。何だか痛快だから、「究極のサボり」として世界中で笑い話になっているのではないか。

 出社回帰というトレンドの話に戻ろう。結論、私はリモートワークだろうがフル出社だろうが、働く人が課されたミッション、KGIやKPIなどを達成していればいいと思う。AIを使わない社員を嘆く暇が合ったら、管理職は、自社の評価指標の不備を役員に教えたほうがいい。

 もちろん私の考えもひとつの意見にすぎない。上場企業であれば、最終的に企業の価値を最大化させたかは、株主の判断もあるだろう。外野はさまざまに批判したがるが、出社回帰した企業の株価が数年後にどれくらい上がっているか、ランキングなんてあればぜひ見てみたいものだ。